“「ドールハウス」は女の子の永遠の憧れ、元女の子にとっても…”
とまでは思いませんが、ドールハウスに限らず、
ミニチュアに惹かれる女性は多いと思います。
たとえば雛人形のお道具類や豆本とか、
子供の頃に集めた「おまけ付きグリコ」の家財道具とか…
男の子だったら、プラモデルやミニカーでしょうか…
私も「ドールハウス」を欲しいと思った事こそありませんが、
もし近くに、アンティーク・ドールハウスの博物館なり展覧会があれば、
是非見てみたいですね。
雛人形と言えば、私の実家には「御殿飾り」がありましたが、
あれはまさに、純和風ドールハウスでしょうね。
江戸時代にも、職人さんが作った精密なミニチュアのお店がありましたよね。
肝心のターシャさんのドールハウスですが、さすがに見事ですね。
前面がオープンタイプながら、細部に至るまでコーギコテージが再現されていて、
温室やヤギ小屋まであるのですから…また道具類の多さにも驚かされました。
この本を見るまで、単細胞の私は全てターシャさんの手作りかと思っていましたが、
多くのプロの職人さんの手によって、作り上げられたものだったのです。
人形やドレス類はターシャさんの作ですが、小物の中には買った物もあり、
息子セスさんの妻マージョリーさん製作の、見事な椅子もありました。
ところで「ドールハウス」に詳しくない私は、
昔何かで、“ドールハウスには人形は置かない”と聞いたことがあって、
そういうものかと思っていましたが、これは日本独特らしいですね。
“ドールハウスの住人は自分”という日本人的考え方の方が、
ロマンティックで、より空想の余地が大きいような気がします。
自分の分身である人形を置いて、洋服や小物を手作りしたい気持ちは私も同じ、
でも、もし私がドールハウスを持ったなら、敢えて人形は置かないでしょう。
ターシャさんのドールハウスの主は、サディアス・クレーン大佐です。
それまでの女性の顔にヒゲを付けただけの顔に、不満を抱いていた彼女は、
大佐を男らしく仕上げました。
サディアス大佐の妻で、ターシャの分身エマは、実は二人目の妻なんです。
最初の妻の名は、メリッサ・シェイクスピアと言い、
盛大にお披露目もされたけれど、エマが現れた途端、
サディアスの情熱はエマに向けられてしまったのだとか…
サディアスとメリッサは円満に別れ、以後エマが大佐の妻となりました。
勿論、移り気はサディアス大佐ではなく、ターシャさんなのですけどね…
でも仕方ないですよ。
メリッサは、叔母イーヂア・パーシェスの人形を譲り受けたものですが、
エマは内蔵まである、ターシャさんご自慢の作品ですからね。
『ターシャ・テューダーのドールハウス』~ミニチュアの世界~
(原題 Tasha Tudor's Dollhouse A Lifetime in Miniature)
ハリー・デイヴィス/著 ジョイ・ポール/写真 相原真理子/訳 文藝春秋
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