* ドキュメンタリー

不死鳥都市の100年

先日「カラーでよみがえる東京」~不死鳥都市の100年(NHKスペシャル)を観ました。

世界中から収集した、東京を撮影した白黒映像をカラー化したものですが、
そこには東日本大震災の際、海外から驚愕と共に賞賛された日本人の行動と
同じ姿が残されていました。

関東大震災直後、また東京大空襲で焼出され、
上野の森に集まった被災者たちが、秩序を乱すことなく長蛇の列に並び、
辛抱強く炊き出しの順番を待っているのです。

このような映像は、以前にも何度か見ましたが、
改めて同じ日本人として感動し、誇りに感じました。

それなのに、何故か少しばかり怖い気がして…
その後に映し出された伊丹万作の一文が私の疑問に答えてくれました。

「多くの人が今度の戦争でだまされていたという。
いくらだます者がいても、だれ一人だまされる者がいなかったとしたら
今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
「だまされていた」といって平気でいられる国民なら
おそらく今後も何度でもだまされるだろう。
いや、現在でもすでに別のうそによって
だまされ始めているに違いないのである。」

騙されなかった人たちは、「国賊」「非国民」と弾圧されたのでした。

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「塀の中の“自由”~アフガニスタンの女性刑務所~」

NHKBS世界のドキュメンタリーを時々見ていますが、
「塀の中の“自由”~アフガニスタンの女性刑務所~」
は残念ながら途中からでした。

刑務所で服役しているといっても、
罪状は、夫に無断で外出した、家族が決めた結婚を拒否した、
暴力をふるう夫から逃げた、といったものばかり。

アフガンの女性は、男性(父、夫、兄、弟)と一緒でないと外出できないのですが、
付き添った息子(一夫多妻のため血縁の無い息子だから)も罪人となり、
父親は「出所したら妻も息子も殺す」と…どうも単なる脅しではないようでした。

女性は教育も受けられず、自由や権利は一切ありません。
外出時には、目の部分のみが網状のブルカで全身を覆い隠さなければいけない。

暴力夫から逃げただけで殺された女性も、
レイプの被害者なのに家族に殺され、
男性に視線を向けただけで親に殺された少女もいます。

すべてはイスラムの教え、神の名において名誉殺人として賞賛されるのです。

マララ・ユサフザイさんも帰国すれば命の保証はないでしょう。

もう人間扱いじゃない。家畜や奴隷と同じ、それ以下です。

イスラムの女性、特にアフガニスタンの女性を救う手立ては無いのでしょうか?

私は「日本人に生まれて良かった」とあまり思わない方ですが、
つくづく「アフガニスタンでなくて良かった」と思わずにはいられませんでした。

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「中国文明の謎 第3集 始皇帝“中華”帝国への野望」(NHKスペシャル)

「中華(元は“中夏”)思想」については、今まで漠然とした認識しかなかったのですが、
番組を見たことで、多少なりとも理解出来ました。

宇宙の中心が北極星だとしたら、世界の中心は皇帝ただ一人、
他は奴隷であり、虫けらであり、雑草でしかない。
そして周辺の民族を、武力と恐怖政治で次々と取り込み巨大化していった。

今の中国が文革によって表向きは社会主義国家を名乗っていても、
中身は社会主義とは正反対、
汚職、腐敗、格差、等々、本質的には歴代の王朝と大して変わらない。

中華思想で考えるなら、朝鮮半島も日本列島も、モンゴルも東南アジア諸国も、
中国の一部、尖閣問題にしても、最近の中国のパスポートの一件にしても、
何の不思議もないのです。

中国の辞書には、自由も平等も人権も存在しないのでしょうから、
当然、中国人には著作権の観念も無いのでしょう。

メンツが第一の国なのにホワイトハウスそっくりな庁舎を建てたり、
世界中のありとあらゆるものを真似したりするのも納得出来ます。

以前TV番組で、在日中国人の男性が、
「国際法というのは中国人には通用しない。もっと中国に合うよう変えるべきだ」
的な発言をして、ひんしゅくをかっていましたが、冗談でも負け惜しみでもなく、
案外本心だったのでは?と思えてきました。

数千年も昔から、中国人には「中華思想」のDNAが受け継がれているのでしょう。

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赤毛のアンの島

先日、BS日テレの「世界水紀行」という番組で、
プリンスエドワード島が取りあげられたと聞き、残念に思っていましたが、
もしかして?とHPを覗いてみたところ、
28日(21:00~)に再放送されることが分かりました。

もちろん録画の予約しました。

タイトルは
「赤毛のアンの島 カナダ プリンスエドワード島」です。

BS日テレを観ることは殆ど無いのですが、
ついでに、ジャンル別番組一覧の「紀行 ドキュメンタリー」を見たら、
興味のある番組ばかりでした。

と言っても、私は日テレの関係者ではありませんよ…念のため。

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NHKスペシャル「中国文明の謎 第2集 漢字誕生 王朝交代の秘密」

中国四千年、「夏王朝」には文字は存在しなかった…

大量の青銅の武器により「夏」を滅ぼした「殷王朝」の時代になって、
発明されたのが最古の漢字「甲骨文字」。

甲羅や骨の傷や刻まれた「甲骨文字」は、王と神の対話のための占いの手段とし、
用いられたようです。

「殷」の属国となった「周」に流出した漢字は、
やがて「周」王朝の時代になって、他の部族との「契約」として使われるようになり、
次第に言葉の異なる広範囲の部族にも広がっていったようです。
「意味を表す」漢字は、話す言葉が違う部族間でも意味が通じるから…

ところで、「道」「県」など、怖い意味が隠されている漢字がありますが、
「羌」(きょう)という漢字は「生け贄」のこと…
これまで、「罪人や奴隷を生け贄にした」と考えられていましたが、
最新の科学的調査により、膨大な「生け贄」の遺骨は同じ部族出身ということが判明。

そのことから、文化の違いなどで「殷」に服従しなかった「羌」部族の人たちを、
「見せしめ」として「生け贄」にしていたようなのです。

また、「白」という漢字は、白骨化した頭蓋骨のこと…怖いです。

最近、
「韓国で漢字復活を求める集会が行われた」という記事を目にしましたが、
元々漢字圏なのですから、ハングルだけは不便なのは想像できます。

漢字は偉大…
でも、凪、峠、躾など、国字もステキです。

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ETV特集「今よみがえる方丈記」

「今よみがえる方丈記」~日本最古の災害ルポルタージュを読む~
を見ました。

鴨長明の「方丈記」というと、中学か高校かは忘れましたが、
授業で暗記させられた書き出し部分の

ゆく川の流れは絶えずして しかも元の水にあらず
よどみに浮ぶうたかたは かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし
世の中にある人とすみかと またかくのごとし

という記憶だけ、
虚無感というか、寂寥感というか、諸行無常というか、
そんな印象でした。

それが「800年前の日本最古の災害ルポルタージュ」
だったというから驚きです。

それに、約3メートル四方の粗末な庵で、カタカナ混じりで書かれたと…
きっと、しっかり授業を聞いていなかったのでしょう。

財あれば怖れ多く、貧しければ恨み切なり
世に従えば身苦し 従わねば狂せるに似たり
いづれの所を占めて いかなる技をしてか
しばしもこの身を宿し たまゆらも心を休むべき


…財産があれば欲にとらわれ心労も多い、
  貧しければ思うことも出来ず辛い
  自分の考えを殺してまで世間に従うのは辛いこと、
  でも、従わなければ狂っていると思われる。
  一体、どこでどのように暮らしていれば
  暫しの間でも心が休まるのでしょか…

私もいつもそう感じています。

「方丈記」「徒然草」「枕草子」「平家物語」「土佐日記」等々、
書き出し部分を暗記させられ、当時はウンザリしたものでしたが、
何十年後の今では、とても感謝しています。

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「永山則夫 100時間の告白」

録画しておいた、
ETV特集「永山則夫 100時間の告白」~封印された精神鑑定の真実~
を見ました。

永山則夫の刑が執行されて15年、
逮捕6年後の25歳の時のカウンセリングを録音したカセットテープが、
初めて公開されました。

精神科医の石川義博さんによって行われた精神鑑定は278日間、
100時間以上に及ぶテープには、幼い頃の記憶も語られていましたが、
想像を絶する悲惨な思い出でした。

親から愛されたことも構ってもらったこともなく、母や兄たちからの虐待、
母親に捨てられ、網走の寒空でゴミ箱を漁っていた幼少期、
貧困と飢餓、学校も殆ど通えず、話し相手の友だちもいなかった。

父親は行方不明、信じられないくらい酷い母親…
虐待の連鎖、母親自身も同じような育ち方をしているのです。

母も小学校も通わせてもらえないばかりか、義父から暴行を受け、
母に心中させられそうになった挙げ句、捨てられている…。

学校へも殆ど通えず、食事も与えられず、肉親の愛もない、
日本の昔の貧しさとは、こういうことだったのでしょうか。

絶望感、自己嫌悪、自殺願望、反発と恨み、不安と猜疑心、人間不信、
被害妄想、母への憎悪…そして何度も語っていたのは、
「何のために生まれてきたのか」「何のために生きてきたのか」という言葉。

救いは、カウンセリングの最後の日に、石川さんが撮った一枚の写真、
「イヤだよ」と言いながらも、他の写真と同一人物とは思えない程の微笑みを
浮かべていました。
執行の恐怖はあったとしても、漸く心の安定を得たようにも思えましたが…。

永山則夫の生涯を思うとき、
昔のTV番組の「私の秘密」での冒頭で、
司会の高橋圭三さんが言った「事実は小説より奇なりと申しまして…」
というフレーズを思い出してしまいます。
(世の中には彼以上に波瀾万丈の人生を送った人もいると思いますが…)

今でなら、ネグレストやPTSDとして違った結果となっていたのかも知れませんが、
死刑制度がある以上、4人も射殺したからには極刑しかないということで、
石川さんの精神鑑定書は黙殺されたのでした。
(幼少期に虐待を受けると、脳が正常に発達しないそうです。)

それにしても、殆ど読み書きが出来なかったのに、
独学で文学賞を受賞するほどの作家になったのですから、
もし違う環境で育ったなら、どんな人生だったのと思わずにはいられません。

「被害者には感情移入しやすいが、加害者には感情移入しにくい」
その通りだと思います。

「木橋」、読んでみたいです。

土曜日の深夜に再放送があります。

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NHKスペシャル「幻の王朝を追う」

昨夜、NHKスペシャル「中国文明の謎 第一集 中華の源流~幻の王朝を追う~」
を見ました。

かつて「中華」は「中夏」とも書かれていたそうです。
知らなかった…

中国4000年、これまで最古の王朝といわれていたのは「殷王朝」で、
文献に登場する「夏王朝」は、考古学的裏付けがないことから、
学者の間では「幻の王朝」と考えられていたそうですが、
最近の発掘調査で「夏王朝」が実在していたことが確認されたとのこと。

紀元前2000年頃、「夏王朝」がどのようにして誕生したのか…
四大文明の中で、中国文明だけが4000年もの間、ほぼ同じ地域で、
繁栄し続けている理由とは…

壮大な歴史を、編み物をしながら上の空で聞いていたら、
終わりのナレーションが…

「周辺から文化を取り込みながら誕生した夏王朝…
夏王朝の築いた文化を飲み込みながら続いてきた歴代の王朝…
…そして今、世界の資本を飲み込みながら経済発展している中国…」

編み目に集中していた意識が突然我に返り、
改めてお隣の国に空恐ろしさを感じてしまいました。

第二集は「漢字の謎」。

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「日本人は何を考えてきたのか」

今年1月より「日本人は何を考えてきたのか」というシリーズが放送されています。

明治、大正、昭和とそれぞれ4回ずつ、既に大正までの8回が放送されました。
残念ながら、第1回目と、2回目は見逃してしまったのですが、
3回目以降は見ることが出来ました。

毎回感動してきましたが、中でも特に印象深かったのは、
やはり田中正造、幸徳秋水、新渡戸稲造でした。

田中正造は足尾銅山鉱毒を明治天皇に告発したことが有名ですが、
死亡したとき無一文で、唯一の私物である信玄袋には書きかけの原稿、
日記、新約聖書などが入っていたそうです。

幸徳秋水といえば大逆事件が思い浮かびますが、
罷免と言うより、実際は国家にとって都合の悪い思想を抹殺するために
国家権力が計画したもので、メディアを使った国民に対する見せしめだったようです。

堺利彦はたまたま別件で捕らえられていたために、
大逆事件で逮捕されなかったそうです。

もし堺利彦が処刑されていたなら、日本の社会主義は無かったかも知れない。
社会主義というと、旧ソ連、旧ルーマニア、北朝鮮、中国などの
社会主義国家と混同しがちですが、彼らの言う社会主義とは、
公共的平等の社会ということだそうです。

新渡戸稲造がクエーカーだったことを初めて知りました。
平等、質素、平和がモットーのクエーカーは、教会といっても、
集会場のような建物で、ステンドグラスは勿論のこと、演壇もない、
賛美歌もない、牧師もいない、誰でも発言できる場所でした。

「日本人は何を考えてきたのか」といっても、実際には極々少数派なのです。
正しくは「当時の日本人の中にはこう考えていた人もいた」
ということではないでしょうか。

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NHKのHPには、各回の人物の言葉が載せられていました。
そのなかの一部です。

真の文明は
山を荒らさず
川を荒らさず
村を破らず
人を殺さざるべし
  <田中正造>

余は日露非開戦論者である許りでない
戦争絶対的廃止論者である
戦争は人を殺すことである
(そ)うして人を殺すことは大罪悪である
(そ)うして大罪悪を犯して個人も国家も
永久に利益を収め得やう筈はない
  <内村鑑三>

祖国の恢復を図ると云う事は
日本人たると
朝鮮人たると支那人たるとを問わず
普遍的に是認せらるべき道徳的立場である
  <吉野作造>

驚くべきは現時の文明国における多数人の貧乏である  <河上肇>

復興事業の第一は人間の復興でなければならぬ <福田徳三>

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<日本人は何を考えてきたのか>

明治編 「文明の扉を開く」
第1回 日本はどこへゆくのか ~福澤諭吉と中江兆民~
第2回 自由民権 東北で始まる
第3回 森と水と共に生きる ~田中正造と南方熊楠~
第4回 非戦と平等を求めて ~幸徳秋水と堺利彦~

大正編 「一等国」日本の岐路」
第5回 東と西をつなぐ ~内村鑑三と新渡戸稲造~
第6回 大正デモクラシーと中国・朝鮮 ~吉野作造と石橋湛山~
第7回 東北 魂のゆくえを見つめて ~柳田国男と折口信夫~
第8回 人間復興の経済学をめざして ~河上肇と福田徳三~

昭和編 「戦争の時代を生きる」(2013年1月放送予定)
第 9回 ひろがる民衆宗教 ~出口なお・王仁三郎と大本教事件~
第10回 昭和維新の指導者たち ~北一輝・大川周明と2・26事件~
第11回 京都学派の哲学者と戦争 ~西田幾多郎から三木清まで~
第12回 女性解放運動はこうして始まった ~平塚らいてうから市川房枝へ

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「吉田隆子を知っていますか」

先日、「吉田隆子を知っていますか ~戦争・音楽・女性~」を見ました。
(ETV特集)

明治生まれの音楽家、吉田隆子さん(1910~1956)のことは、
まったく知りませんでした。

日本の作曲家といって浮かぶのは、瀧廉太郎、武満徹、山本直純くらい…
女性の作曲家がいたなんて本当に驚き…

吉田隆子さんは、家父長制の時代、父兄の反対を押し切って音楽の道に進み、
独学で作曲を学び、「楽団創生」を結成し、
断髪タキシード姿で指揮したというのですから、すごいの一言です。

音楽を目指した切っ掛けは、母から贈られたピアノ…
その母は女性の自立を願っていたそうですから、母親の影響は大きいです。

でも、民衆のための音楽活動が危険思想と見なされ、常に特高に監視され、
何度かの獄中生活を余儀なくされた結果、結核に罹ってしまったという…
病床にあっても反戦と音楽への思いは篤く、遺された日記に綴られていました。

吉田隆子さんを訪ねたことのある奈良岡朋子さんによれば、
会話に加わることもなく大変寡黙で、夫の久保栄さんから意見を求められた時だけ、
自らの意見を言葉少なく話されていたそうです。

なぜ彼女の名が後生に伝えられなかったのか…?
反体制派で、しかも女性だったから…私にはそう感じました。
考えすぎかも知れませんが。

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