今年1月より「日本人は何を考えてきたのか」というシリーズが放送されています。
明治、大正、昭和とそれぞれ4回ずつ、既に大正までの8回が放送されました。
残念ながら、第1回目と、2回目は見逃してしまったのですが、
3回目以降は見ることが出来ました。
毎回感動してきましたが、中でも特に印象深かったのは、
やはり田中正造、幸徳秋水、新渡戸稲造でした。
田中正造は足尾銅山鉱毒を明治天皇に告発したことが有名ですが、
死亡したとき無一文で、唯一の私物である信玄袋には書きかけの原稿、
日記、新約聖書などが入っていたそうです。
幸徳秋水といえば大逆事件が思い浮かびますが、
罷免と言うより、実際は国家にとって都合の悪い思想を抹殺するために
国家権力が計画したもので、メディアを使った国民に対する見せしめだったようです。
堺利彦はたまたま別件で捕らえられていたために、
大逆事件で逮捕されなかったそうです。
もし堺利彦が処刑されていたなら、日本の社会主義は無かったかも知れない。
社会主義というと、旧ソ連、旧ルーマニア、北朝鮮、中国などの
社会主義国家と混同しがちですが、彼らの言う社会主義とは、
公共的平等の社会ということだそうです。
新渡戸稲造がクエーカーだったことを初めて知りました。
平等、質素、平和がモットーのクエーカーは、教会といっても、
集会場のような建物で、ステンドグラスは勿論のこと、演壇もない、
賛美歌もない、牧師もいない、誰でも発言できる場所でした。
「日本人は何を考えてきたのか」といっても、実際には極々少数派なのです。
正しくは「当時の日本人の中にはこう考えていた人もいた」
ということではないでしょうか。
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NHKのHPには、各回の人物の言葉が載せられていました。
そのなかの一部です。
真の文明は
山を荒らさず
川を荒らさず
村を破らず
人を殺さざるべし <田中正造>
余は日露非開戦論者である許りでない
戦争絶対的廃止論者である
戦争は人を殺すことである
爾(そ)うして人を殺すことは大罪悪である
爾(そ)うして大罪悪を犯して個人も国家も
永久に利益を収め得やう筈はない <内村鑑三>
祖国の恢復を図ると云う事は
日本人たると
朝鮮人たると支那人たるとを問わず
普遍的に是認せらるべき道徳的立場である <吉野作造>
驚くべきは現時の文明国における多数人の貧乏である <河上肇>
復興事業の第一は人間の復興でなければならぬ <福田徳三>
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<日本人は何を考えてきたのか>
明治編 「文明の扉を開く」
第1回 日本はどこへゆくのか ~福澤諭吉と中江兆民~
第2回 自由民権 東北で始まる
第3回 森と水と共に生きる ~田中正造と南方熊楠~
第4回 非戦と平等を求めて ~幸徳秋水と堺利彦~
大正編 「一等国」日本の岐路」
第5回 東と西をつなぐ ~内村鑑三と新渡戸稲造~
第6回 大正デモクラシーと中国・朝鮮 ~吉野作造と石橋湛山~
第7回 東北 魂のゆくえを見つめて ~柳田国男と折口信夫~
第8回 人間復興の経済学をめざして ~河上肇と福田徳三~
昭和編 「戦争の時代を生きる」(2013年1月放送予定)
第 9回 ひろがる民衆宗教 ~出口なお・王仁三郎と大本教事件~
第10回 昭和維新の指導者たち ~北一輝・大川周明と2・26事件~
第11回 京都学派の哲学者と戦争 ~西田幾多郎から三木清まで~
第12回 女性解放運動はこうして始まった ~平塚らいてうから市川房枝へ
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