今井正監督の『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』は喜劇ではありません。
風刺です。…と、思います。
では、なぜ、喜劇と付いているのでしょうか…?
皮肉…?洒落…?オブラート効果…?
本当のところは、監督に聞いてみないと分かりませんが、
笑える要素があまりに少ない映画でした。
序盤、まるで最期を待つかのように、
養老院(老人ホームではありません)のベッドに寝かされている大勢の老人…
終焉の場を見せられたようで、突然、虚無感に襲われてしまいました。
息子家族と同居しているサト(ミヤコ蝶々)にしても、
自殺を思い止まり、終の棲家を見つけた居場所がTVに映った養老院とは…
なんとも哀れです。
寮で共同生活を送り青春を謳歌している若者たち…
“俺、年寄りって嫌いだ。汚くて見ていると気分が悪くなる”と言っていた青年にしても、
何十年後、養老院のお世話になっていないという保証はないのに…
ところで、放送後の解説によれば、
公開当時、北林谷栄さんは50歳、蝶々さんは41歳だったとか…
(北林さんは1959年の『キクとイザム』『にあんちゃん』でも老婆を演じていました。)
他のお婆さん役にしても、東山千栄子さんが最高齢の71歳、飯田蝶子さんは64歳、
浦辺粂子さんは59歳、原泉さん、岸輝子さん、村瀬幸子さんはいずれも56歳、
メイクと演技力とは流石です。(いずれも公開当時の年齢)
そういえば、オクラホマミキサーや阿波踊りを踊っている場面で、
意外にのりのりでビックリしましたが、実年齢を知って納得しました。
お爺さん役で名前が分かったのは、左卜全さん、伴淳三郎さん、殿山泰司さん、
上田吉二郎さんぐらい…多分、意外に若かったのでしょうね。
他に、十朱幸代さんは10代、市原悦子さんが20代、沢村貞子さんが40代、
渥美清さん、小沢昭一さん、三木のり平さん、木村功さん、田村髙廣さん、渡辺文雄さん、
みなさん30代だったようです。
…50年前の映画ですから若いのは当然ですが…。
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