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翻訳の違い…(4)

「赤毛のアン」第三章…

村岡花子/訳(新潮文庫 1954)
(略)
 こどもはちょっとためらってから、
「あたしをコーデリアと呼んでくださらない?」と熱心に頼んだ。
「コーデリアと呼べだって? それがあんたの名前なのかい?」
「いいえ、あの、あたしの名前ってわけじゃないんですけど、コーデリアと呼ばれたいんです。すばら しく優美な名前なんですもの」
(略)
「あら、大ちがいだわ。そのほうがずっとすてきに見えるのですもの。名前を聞くと、すぐ目の前に、まるで印刷されたみたいに、その名前がうかんでこないこと? あたしはそうだわ。だからAnnはひどく感 じがわるいけれど、Anneのほうはずっと上品に見えるわ。小母さんが、おわりにeの字がついたアンと呼んでくださるなら、コーデリアと呼ばれなくても、がまんするわ」
(略)

中村佐喜子/訳(角川文庫 1957)
(略)
 女の子はちょっとためらった。
「あたし、コーデリアと呼んでほしいの」と、真顔で云った。
「コーデリアだって! それがあんたの名前かね?」
「いーえ。ほんとの名前ではないけど、あたし、とってもコーデリアと呼ばれたいの。こんな上品でいい名前ないわ」
(略)
「そりゃァちがうわ。eのついた方がずっとよく見えるわ。おばさんには人の名前を聞くと、その綴り が印刷されたようにはっきり見えてこない? あたしには見えるのよ。Ann はとてもいや。でも Anne だ とずっとよくなるわよ。おばさんもeのついたアンで呼んでくれるなら、あたしはコーデリアと呼ばれなくても、がまんすることにするわ」
(略)

掛川恭子/訳(講談社文庫 1999)
(略)
 女の子は一瞬ためらったが、すぐ熱心にいった。
「コーデリアって呼んでもらえる?」
「コーデリア! 本当にそういう名前なのかい?」
「いえ、その……本当っていうわけじゃないけど、ぜひコーデリアって呼んでもらいたいの。とっても 上品な名前なんですもの」
(略)
「すごくちがうわ。ずっとすてきに見えるもの。だれかが名前を呼ばれるのを聞いたら、その名前の綴(つづ)りが心に浮かばない? わたしは浮かぶわ。A-n-nじゃつまらないもいいとこだけど、A-n-n-e だ と、ずっと品がよくなるでしょ。eつきのアンで呼んでくれるなら、コーデリアって呼んでもらえなくても我慢するわ」
(略)

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100年後の女の子は、どんな日本語でお話ししてるのかしら…。

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