翻訳の違い…(2)
うちにある三冊の「赤毛のアン」の第一章、冒頭部分です。
原文
Chapter I - Mrs. Rachel Lynde is Surprised
Mrs. Rachel Lynde
lived just where the Avonlea main road dipped down into a little
hollow, fringed with alders and ladies' eardrops and traversed by a
brook that had its source away back in the woods of the old Cuthbert
place;
村岡花子/訳(新潮文庫 1954)
第一章 レイチェル・リンド夫人の驚き
アヴォンリー街道をだらだらと下って行くと小さな窪地に出る。レイチェル・リンド夫人はここに住んでいた。まわりには、榛の木が茂り、ずっと奥のほうのクスバート家の森から流れてくる小川がよこぎっていた。
中村佐喜子/訳(角川文庫 1957)
第一章 レイチェル・リンド夫人の驚き
レイチェル・リンド夫人は、エヴォンリーの街道が、ちょうど小さい窪地へおりるあたりに住んでいた。まわりははんの木やさくらそうなどにかこまれ、奥のカスバァト家の森からくる小川が、そこを流れている。(注 アンダーライン=傍点)
掛川恭子/訳(講談社文庫 1999)
1 レイチェル・リンド、びっくりする
レイチェル・リンドは、アボンリーの村を通る街道が丘を下っていったところにある、小さな窪地(くぼち)に住んでいる。まわりをハンノキやフクシアに囲まれたその小さな窪地を、はるかかなたのカスバート家の森の奥で生まれた小川が横切っている。
中村佐喜子訳は
扉に ――よき星の下に生まれし者は
精なり、炎なり、露なり。
――ブラウニング――
献辞は 父母に捧ぐ
掛川恭子訳にはブラウニングの引用はなく、
献辞は 父と母の思い出に捧げる
村岡花子訳にはどちらもありませんでした。
また「Avonlea」「Cuthbert」を、
村岡花子さんは「アヴォンリー」「クスバート」、
中村佐喜さんは「エヴォンリー」「カスバット」、
掛川恭子さんは「アボンリー」「カスバート」と訳されていました。
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