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検死官たちは帰って行った。
まるで夢の中を彷徨っているかのような非現実的な展開に戸惑いながらも
「発見があと一日遅れていたら三面記事やワイドショーのネタになったかも」
などと冷めた考えが浮かぶことが不思議。
母の傍らに座り、毛布の上から頭を撫でていた姪に甥(姪の弟)から、
父(姪甥からは祖父)が、“軽度の肺炎と脱水症状のため入院することになった”
との知らせが入り、姪は入院に必要な品々をまとめ病院へ急いだ。
奥の部屋では弟が黒電話の前から離れない。
葬儀社はどこもいっぱいで、漸く見つかった所は隣の市、
当然斎場も混んでいて、葬儀は一週間先になるとのことだった。
葬儀社の担当者から、下穿きだけは穿かせておくように言われ、
躊躇する間もなく自分の役目と覚悟を決めた。
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