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2012年12月

今年もお世話になりました。

2012年も残りわずかとなってしまいました。

今年はいろいろあって、あまり更新出来ませんでした。
覗きに来て下さった方々、本当にごめんなさい。

来年はどんな一年になるのでしょうか…?
2013年が皆さまにとって平和で素敵な年になりますように…!
…私にとっても。

それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

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『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(1962・松竹)

今井正監督の『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』は喜劇ではありません。
風刺です。…と、思います。

では、なぜ、喜劇と付いているのでしょうか…?
皮肉…?洒落…?オブラート効果…?

本当のところは、監督に聞いてみないと分かりませんが、
笑える要素があまりに少ない映画でした。

序盤、まるで最期を待つかのように、
養老院(老人ホームではありません)のベッドに寝かされている大勢の老人…
終焉の場を見せられたようで、突然、虚無感に襲われてしまいました。

息子家族と同居しているサト(ミヤコ蝶々)にしても、
自殺を思い止まり、終の棲家を見つけた居場所がTVに映った養老院とは…
なんとも哀れです。

寮で共同生活を送り青春を謳歌している若者たち…
“俺、年寄りって嫌いだ。汚くて見ていると気分が悪くなる”と言っていた青年にしても、
何十年後、養老院のお世話になっていないという保証はないのに…

ところで、放送後の解説によれば、
公開当時、北林谷栄さんは50歳、蝶々さんは41歳だったとか…
(北林さんは1959年の『キクとイザム』『にあんちゃん』でも老婆を演じていました。)

他のお婆さん役にしても、東山千栄子さんが最高齢の71歳、飯田蝶子さんは64歳、
浦辺粂子さんは59歳、原泉さん、岸輝子さん、村瀬幸子さんはいずれも56歳、
メイクと演技力とは流石です。(いずれも公開当時の年齢)

そういえば、オクラホマミキサーや阿波踊りを踊っている場面で、
意外にのりのりでビックリしましたが、実年齢を知って納得しました。

お爺さん役で名前が分かったのは、左卜全さん、伴淳三郎さん、殿山泰司さん、
上田吉二郎さんぐらい…多分、意外に若かったのでしょうね。

他に、十朱幸代さんは10代、市原悦子さんが20代、沢村貞子さんが40代、
渥美清さん、小沢昭一さん、三木のり平さん、木村功さん、田村髙廣さん、渡辺文雄さん、
みなさん30代だったようです。
…50年前の映画ですから若いのは当然ですが…。

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『有りがたうさん』(1936・松竹)

『有りがたうさん』は昭和11年封切りですが、出来上がったのは前年だそうです。
76~77年も昔…若い人にとっては殆ど時代劇…?

原作は川端康成の小説『有難う』で、『風の中の子供』(1937)の清水宏監督の作品。
「ありがとうさん」とは、すれ違いや追い越すたびに、必ず「ありがとう~」と声を掛けることから、「ありがとうさん」と呼ばれている乗り合いバスの運転手(上原謙)のこと。

当時25~6歳だった上原謙さんはとても美男子、加山雄三さんとは全く似ていません。
また『兄とその妹』に出演されていた桑野通子さんは20~21歳だったそうです。

売られて行く娘と母、水商売風の女(桑野通子)、髭の紳士、行商人、新婚さん、
旅芸人など、様々な乗客や行き交う人々との交流を描いていましたが、
特に印象深かったのは、朝鮮労働者の一行でした。

まるで奴隷のように働かされ、一箇所の工事が終われば、
むき出しの布団や鍋を背負って、次の現場まで移動する…

「次は信州のトンネル工事へ行きます。道ができたら日本の着物を着て、
一度でいいから“ありがとうさん”のバスに乗りたかった。
私たちは自分が作った道を歩くこともなく、また道の無い山へ入って行くのよ。
…お父さん(お墓)を残していくから、通るときは、時々、水とお花あげてね…」
の言葉を残し、ボンネットバスをいつまでも見送っていた白い服の若い朝鮮の女性…

気になったにはあの娘、どこに売られて行ったのかしら?
水商売風の女への蔑視も…
今でさえ無くならないのだから当然なのかも知れません。

終盤、“翌日、天城街道は日本晴れ”の一文が…
どこからどこまで走るのか分かりませんでしたが、一日では着かなかったとは…
みんなどこかで宿泊したのでしょうか?

ところで、スローで棒読みの台詞になかなか馴れませんでした。
早口で聞き取れないのも困りますが…。

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『カルメン故郷に帰る (デジタル・リマスター版)』(1951・松竹)

木下恵介監督(脚本)のこの作品は日本初の総天然色映画とのことですが、
今回放映されたのはデジタルリマスター版でした。

家出し東京でストリッパーになった牧場の娘きん(高峰秀子)は、
劇場の改築で休暇となった6日間を過ごすため、同業の友人と帰郷することに…

子どもの頃、牛に蹴られてオツムが少々弱くなった「リリーカルメン」こと「きん」は、
職業に引け目を感じるどころか、芸術家気取りで「故郷に錦を飾った」つもり…

けばけばしい服装や軽率な態度で村中を驚かした挙げ句、
「田舎の人たちに芸術が解るかしら…」
と心配しながらも退屈しのぎで、ストリップショーを思い立つ…
「きん」の父親は、恥ずかしさと情けなさで寝込んでしまう。

二人のダンスは芸術とは程遠いものでしたが、
高峰秀子さんの歌にしても、決して下手ではないにしても、
独特なビブラートが耳障りで…

デジタルリマスター版ということで確かにクッキリ綺麗ではありましたが、
色彩やコントラストが強すぎたせいなのか、
折角の美しい浅間山の景色も、都会の派手な洋服もCDみたい…
人物と背景がまるで合成のように不自然に感じてしまいました。

私としては、以前観たオリジナル版のほうが良かったです。

出演は高峰秀子さんの他に、
佐田啓二さん、笠智衆さん、望月優子さん、佐野周二さん、小林トシ子さんなど。

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グレーのセーターのまとめ

今さらですが、「グレーのセーター」を簡単にまとめてみました。

<サイズ>M-L(メンズ)
胸囲 112cm
背肩幅 46cm
丈 66cm
袖丈 54cm

<材料>
スキー、ホビーメイク 毛混並太(ウール40%、アクリル60%)グレー
40g(約75m)×14玉

<用具>
棒針(又は輪針)8号(模様編み、メリヤス編み)、6号(1目ゴム編み)
(他にかぎ針、とじ針、待ち針、電卓など)

<ゲージ> 10cm平方
メリヤス編み、19目×26段
模様編み、21目×26段

<編み方>
身頃…「指でかける作り目」をして「1目ゴム編み」で編み、
続けて平均に増し目をし図のように編みます。
(「身頃」は、「えりぐり」以外は同じです。)

袖…身頃と同じく「指でかける作り目」をして編み、
袖下は「端1目内側」で「ねじり目の増し目」で増し目をします。

肩は「かぶせはぎ」、脇と袖下は「すくいとじ」、
衿は「拾い目」をして「1目ゴム編み」で襟先を編み、
編み終わりは「1目ゴム編み止め」にします。

「袖付け」は割り糸を使って「引き抜き」で付けました。

糸の替えは編み端で。

20121219a 20121219b 20121219c
「模様編み」はオリジナルではないため、アップの写真だけにしました。

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和製漢語

漢字の成り立ちには、残酷で怖ろしいものもあるようですが、
漢字の熟語にも、現代では考えられないほどの権力者の力が見えます。

先日のNHKスペシャル(「中国文明の謎、第3集」)によれば、
“牛耳る”の「牛耳」は、「秦」が初めて中国を統一を果たした時代、
諸侯と同盟を結ぶ際に、支配者が牛の耳を切り、その血を飲ませて
忠誠を誓わせたことから出来た言葉だそうです。

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ところで、歳のせいか勉強不足なのか、最近、片仮名言葉が多くて付いていけません。
(メモして調べるようにしていますが…)

外来語といえば、
幕末以降、それまで日本にはなかった西洋の文化や概念が入ったことから、
知識人が日本語に翻訳し、新たな言葉(和製漢語)を作ったのだそうです。

その和製漢語は、明治以後、中国からの留学生によって、
中国や朝鮮半島に渡っていったとのこと…。

現在、中国では日本から逆輸入された多くの和製漢語が使われていて、
(「人民」「共和国」「共産党」「社会主義」も和製漢語らしい…)
韓国や北朝鮮にしても、もし漢字が復活したら、使われている言葉の多くが、
和製漢語であることがばれてしまう、と読んだことがあります。

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和製漢語、ちょっと調べてみました…

教育、教養、美術、芸術、文明、文化、文学、化学、科学、物理、分子、幾何、進化、
時間、空間、喜劇、悲劇、基準、義務、協定、目標、目的、強制、民族、自由、理想、
思想、人権、意識、理性、感性、主観、客観、宗教、哲学、革命、階級、資本、独裁、
銀行、郵便、電話、企業、経済、法律、議会、組合、労働、集団、右翼、左翼、政党、
政策、選挙……

…↑はほんの一部、一体どの位あるのでしょうか…?
そういえば、「野球」「運動」「失恋」なども和製漢語、
外来語を翻訳した昔の知識人は凄い!…と思わずにはいられません。

片仮名言葉に閉口していたとしても、今の時代、新たな和製漢語を作っても、
却って混乱するような気もします。

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「中国文明の謎 第3集 始皇帝“中華”帝国への野望」(NHKスペシャル)

「中華(元は“中夏”)思想」については、今まで漠然とした認識しかなかったのですが、
番組を見たことで、多少なりとも理解出来ました。

宇宙の中心が北極星だとしたら、世界の中心は皇帝ただ一人、
他は奴隷であり、虫けらであり、雑草でしかない。
そして周辺の民族を、武力と恐怖政治で次々と取り込み巨大化していった。

今の中国が文革によって表向きは社会主義国家を名乗っていても、
中身は社会主義とは正反対、
汚職、腐敗、格差、等々、本質的には歴代の王朝と大して変わらない。

中華思想で考えるなら、朝鮮半島も日本列島も、モンゴルも東南アジア諸国も、
中国の一部、尖閣問題にしても、最近の中国のパスポートの一件にしても、
何の不思議もないのです。

中国の辞書には、自由も平等も人権も存在しないのでしょうから、
当然、中国人には著作権の観念も無いのでしょう。

メンツが第一の国なのにホワイトハウスそっくりな庁舎を建てたり、
世界中のありとあらゆるものを真似したりするのも納得出来ます。

以前TV番組で、在日中国人の男性が、
「国際法というのは中国人には通用しない。もっと中国に合うよう変えるべきだ」
的な発言をして、ひんしゅくをかっていましたが、冗談でも負け惜しみでもなく、
案外本心だったのでは?と思えてきました。

数千年も昔から、中国人には「中華思想」のDNAが受け継がれているのでしょう。

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『警察日記』(1955・日活)

録画しておいた『警察日記』を観ました。

この映画は
「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本~喜劇編~」
の一つなのですが、これ本当に喜劇なの…?

涙もろい方でもないのに、笑うどころか泣ける場面ばかりでした。
昔の喜劇というのは、可笑しいだけでは無いのですね。

磐梯山の麓の田舎町で日々起こる小さな事件の数々、
貧しい時代の苦しい暮らしの中でも、
優しさや思い遣りの心を忘れない人々…

生活苦故の犯罪(人身売買、捨て子、万引き、置き引き、無銭飲食など)に、
弱者の心情を理解し温情をもって対処する巡査たち…

6人目の出産直後だというのに、捨て子の幼女(二木てるみさん)を
快く預かる巡査(森繁久彌さん)の妻…

身売りされそうになった貧しい農家の娘(岩崎加根子さん)に同情し、
心配する若い巡査(三國連太郎さん)…

捨て子の赤ん坊と姉を引き取り、愛情を寄せる旅館の女将(澤村貞子さん)…

5人の息子が戦死したことで終戦を理解出来ない元校長(東野英治郎さん)に
暖かい目を向ける人たち…

そして、ラストシーン…
泣けるシーンを挙げたらキリがありません。

子役ブームと言われる昨今ですが、
当時6歳だった二木てるみさんの名演技には泣かされました。

名演技と言えば、杉村春子さんは狡猾な役が本当に巧いですよね。

冒頭の「キャスト」を見返すと、上記の他にも見覚えのある名前がずらり…

(伊藤雄之助、殿山泰司 、小田切みき、三島雅夫、十朱久雄、飯田蝶子、
左卜全 、多々良純 、三木のり平、千石規子、田中筆子…)

でも、半世紀以上も経っているので、知っているはずの三木のり平さんや
千石規子さんなどは気付きませんでした。

宍戸錠さんも解説で聞かされなければ分からなかったでしょうね。

この作品に出会えて良かった…
日本人だけでなく多くの人に観てもらいたい作品です。

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