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『有りがたうさん』(1936・松竹)

『有りがたうさん』は昭和11年封切りですが、出来上がったのは前年だそうです。
76~77年も昔…若い人にとっては殆ど時代劇…?

原作は川端康成の小説『有難う』で、『風の中の子供』(1937)の清水宏監督の作品。
「ありがとうさん」とは、すれ違いや追い越すたびに、必ず「ありがとう~」と声を掛けることから、「ありがとうさん」と呼ばれている乗り合いバスの運転手(上原謙)のこと。

当時25~6歳だった上原謙さんはとても美男子、加山雄三さんとは全く似ていません。
また『兄とその妹』に出演されていた桑野通子さんは20~21歳だったそうです。

売られて行く娘と母、水商売風の女(桑野通子)、髭の紳士、行商人、新婚さん、
旅芸人など、様々な乗客や行き交う人々との交流を描いていましたが、
特に印象深かったのは、朝鮮労働者の一行でした。

まるで奴隷のように働かされ、一箇所の工事が終われば、
むき出しの布団や鍋を背負って、次の現場まで移動する…

「次は信州のトンネル工事へ行きます。道ができたら日本の着物を着て、
一度でいいから“ありがとうさん”のバスに乗りたかった。
私たちは自分が作った道を歩くこともなく、また道の無い山へ入って行くのよ。
…お父さん(お墓)を残していくから、通るときは、時々、水とお花あげてね…」
の言葉を残し、ボンネットバスをいつまでも見送っていた白い服の若い朝鮮の女性…

気になったにはあの娘、どこに売られて行ったのかしら?
水商売風の女への蔑視も…
今でさえ無くならないのだから当然なのかも知れません。

終盤、“翌日、天城街道は日本晴れ”の一文が…
どこからどこまで走るのか分かりませんでしたが、一日では着かなかったとは…
みんなどこかで宿泊したのでしょうか?

ところで、スローで棒読みの台詞になかなか馴れませんでした。
早口で聞き取れないのも困りますが…。

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