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『一生一途に』~正造(94歳)じいちゃんの戦争体験記と57年間のまんが日記~

20121024 『一生一途に』
~正造(94歳)じいちゃんの戦争体験記と57年間のまんが日記~
竹浪正造/著
廣済堂出版

先日、図書館から竹浪正造さんの『一生一途』を借りてきて読みました。

一冊目の『はげまされて はげまして』は売り上げに協力したい気持ちもあって、
amazonで注文しましたが、今回はお財布と相談し借りることに…

『はげまされて はげまして』は、私が心配する必要もなく、
amazonで一晩でベストセラーとなり、一週間後には12万部を突破したそうです。

まんが日記を書き続けて57年間、大学ノート2314冊、
一日も欠かさずですから…信じられない。

第一章の「終戦。朝鮮半島からの逃避行」は衝撃的でした。

(描いたのは昭和37年、いつか子どもたちに読んで貰いたくてまとめたそうです。
満州にいた頃、上官に「記憶より記憶、いつもノートを持っていろ」と言われ、
毎日、出来事をメモするようになったそうです。)

ソ連軍がやってくる前に撤退することになり、
みんな官舎の庭で衣類などを燃やしている場面がありました。

周辺の朝鮮人たちが「勿体ない」という表情で見守っている中、
著者のではないですが、吹き出しの一つに、
「朝鮮人に一枚だってやるもんか」が…

“敵国の人でもないのだから、燃やすくらいならあげればいいのに…”
と思いましたが、当時は民族主義的な考えが今より強かったのかもしれません。

でも別のページには、
「持ち帰れない家具などは、知り合いの日本人や朝鮮人に貰ってもらった」とか、
「朝鮮人ばかりの大混雑で心細かった妻は、
朝鮮人の憲兵さんにとても親切にしてもらった」など、
ホッとさせられるエピソードもありました。

他に、愛妻との思い出が綴られていました。
2年の闘病の末、最愛の妻は正造さんを残して旅立ってしまった…

悔やまれるのは、亡くなる数日前に遺言や遺影を聞いてしまったこと。
「いつか逢えたら謝りたい…」とありましたが、
優しさ、真面目さ故と解ってくれていると思います。

妻だけでなく、長女も同じ62歳で逝ってしまった…

長生き出来ることは幸せなことですが、
愛する人との悲しい別れも、沢山味わわなければならないのですね。

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