中国、いまむかし
『下駄で歩いた巴里』の「白河の旅情」を読んだ時に衝撃を受けるどころか、
「やっぱり~」と納得してしまいました。
辛亥革命によって君主制から共和制国家となっても、
文化大革命によって社会主義国家となっても、
飛躍的な経済発展を遂げGNPが世界2位の国となっても、
中国は構造的には変わっていないような気がします。
中国はジニ係数を発表していないそうですが、
巨万の富を享受するほんの一握りの階級が存在する一方で、
貧困に喘ぎ、読み書きさえ出来ない人たちもいる。
日本でも「神武景気」や「バブル景気」などがありましたが、
一般庶民には実感がなかったように、
中国の経済発展も、大多数の中国人には無縁のようです。
中国が、諸外国から嫌悪感や蔑みの対象とされるのは、「妬み」などではなく、
腐敗政治や覇権主義、人権問題、領土問題、知的財産権、食の安全、環境問題など、
様々な問題が知られているからではないでしょうか。
いつの日か中国にも民主化が実現し、
本当の意味での先進国の仲間入りが出来る日がくることを願っています。
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"・・・略・・・煙のような埃のたちこめている広場に、
あっちこっち行路病者の死骸がころがっているし、
その死骸の着物や靴をひっぺがえして取っている者、
それを眺めている人たち、・・・略・・・
乞食のようなひとたちが列をなしている処だった。
裸でころがっている死骸には蠅が黒い塊のようにむれているし、
世界のどの国にこんな処があるかしらと、私は吃驚してしまった。
三人とも口にハンカチをあてて歩いた。
・・・略・・・死骸のじき傍で揚げ物を売っている店があったり、
喰えるとも思われないようなソーセイジ屋なんかが、
雨のように飛びかう蠅のひどい店を拡げて、美味いぞ美味いぞ
とでも云っているいるのだろう、声を張りあげて客を呼んでいたりする。
・・・略・・・三府管と云うところにはまるで思想と云うものがなく、
犬や猿と同じ生活のようなのだから、人間的なモラルを越えて
ゼンマイみたいなものがゆるみきっているのかもしれない。"
<林芙美子『下駄で歩いた巴里』「白河の旅情」より>
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