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『下駄で歩いた巴里』

20120603 『下駄で歩いた巴里』
~林芙美子紀行集~
立松和平/編
岩波文庫

『下駄で歩いた巴里』は、「Jブンガク」で取りあげられた時から、
読みたいと思っていた本です。

先日図書館で借りて読みましたが、約半年間のパリ滞在記だけでなく、
憧れだった中国での日々、20日以上もかかるシベリア鉄道での車中の様子、
ロンドンに滞在した様子、そして後半には、国内の紀行文も収録されていました。

1931年当時、まだ20代後半だった林芙美子さんの行動力に脱帽しました。

朝は焼きたてのフランスパンを買いに行き、ルーブルでコローを見学し、
ボードレールやランボーが出入りしていた、燕横町にある元牢獄の酒場で飲んだり、
バルビゾンの森やミレーのアトリエ付近を散歩したり…

「紅色の花模様の壁紙にイライラさせられ、目を閉じると目蓋の裏まで赤く染まる…
日本の優しい壁の色が懐かしい。
畳に座りたい…異郷にあって日本の美しさに日々呆んやりするほど。
ことさら日本の言葉はベリグウド…」

好奇心旺盛で恐れを知らぬ80年前の異文化体験に、
意気地がない私は圧倒されっぱなしでした。

運賃、家賃、赤帽代、パン、紅茶、マーマレード…
小遣い帳のように細かく記録しているところは女性ならではでしょうか。

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<目次>
北京紀行 (昭和11年10月)
白河の旅愁 (昭和12年5月)
哈爾賓散歩 (昭和5年11月)
西比利亜の旅 (昭和6年1月)
巴里まで晴天 (昭和6年秋)
下駄で歩いた巴里 (昭和七年三月)
巴里
皆知ってるよ (昭和七年三月)
ひとり旅の記 昭和七年四月)
春の日記
摩周湖紀行 ~北海道の旅より~ (昭和十年六月)
樺太への旅 (昭和十年六月)
江差追分 (昭和十年十一月)
上州の湯の沢 (昭和五年八月)
下田港まで (昭和九年五月三日)
私の好きな奈良 (昭和六年三月)
京都 (二月十日)
文学・旅・その他 (八月十日)
大阪紀行 (昭和二十六年七月)
私の東京地図
解説
林芙美子略年譜

(国外、国内と分けるのは良しとして、年代順にして欲しかったです。)

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