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「亡命詩人の憂鬱」 ~23年目の天安門事件~

天安門事件から23年の今日、
昨夜録画したETV特集「亡命詩人の憂鬱」 ~23年目の天安門事件~を見ました。

先月、ポーランドのノンフィクション文学・カプチンスキー賞を受賞された中国の詩人、
廖亦武(リャオ・イーウ)さんに焦点を当てたドキュメンタリーでした。

リャオさんは天安門事件を告発する長詩「大虐殺」を発表したために投獄され、
4年間にわたり非人道的な拷問を受け、出獄後も公安に監視され続け、
2011年、15回目にしてようやくドイツへの亡命を果たしました。

亡命により夢にまで見た言論の自由を得て、中国当局を批判できるようになりましたが、
中国政府には何の影響も与えられないばかりか、
中国の庶民にも思いが届かないというジレンマに陥るそうです。

リャオさんの友人で詩人の李必豊(リ・ビーフォン)さんの他にも、
未だ多くの人たちが獄中で非人間的な扱いを受けているとのことでした。

リャオさん曰く、中国の経済発展は庶民には関係無い。
少数の人間が最大の利益を得て、大多数の庶民は依然として貧しく蟻のよう。
底辺に生きる中国人には発言権がなく、生きている限り声帯を切り取られた犬と同じ…

官僚は汚職で私服を肥やし、富裕層は搾取し、コピー商品や下水油、
毒食品などで儲けている人たちがいる一方で、
天安門事件を支援した名もなき一般市民は「反革命動乱罪」で捕らえられ、
出獄後も常に監視され、「暴徒」の烙印を貼られ、結婚や就職さえ出来ないでいる。
中国で生きていくのは、日本人が想像できないほど難しいことかも知れません。

ところで、天安門事件の映像を見ていて気になったことですが、
撮影していたのは、たまたま居合わせた外国人でしょうか…?

中国では、日本のドラマも、アニメも、バラエティ番組も、
著作権などお構いなく、動画サイトで観られるそうですが、
この種のドキュメンタリー番組などは絶対に観られないでしょう。

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* ドキュメンタリー」カテゴリの記事

コメント

"通りがかりのものです"さんへ
詳しく教えて下さって本当にありがとうございます。
おかげで長年の疑問が解決出来ました。

投稿: ミチ | 2012年6月22日 (金) 11:03

天安門事件の映像は当時のNHKの記者が撮影したものです。当時映像は後日配信され、電話で音声がリアルタイムに流されたそうです。

投稿: 通りがかりのものです | 2012年6月21日 (木) 23:45

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