『転校生』(1982)
尾道を舞台にした大林宣彦監督の『転校生』を初めて見ました。
素敵な映画でした。
前に見たことがある、ような気がしていましたが、
予告編か何かで、石段を転げ落ちるシーンやラストシーンを見ただけ…
現実離れしたお話なのにハラハラ、ドキドキ、
ラストの別れのシーンでは、切ない気持ちが伝わって涙が出てしまいました。
撮影当時は二人とも15~16歳位だったそうですから、台詞にしても、
異性の前で下着を着替えたり、ビキニも下だけだったりなど、
辛くて相当の決心が要ったことでしょうね。
(スクール水着にしなかったのは、そのためだったのでしょうか?)
小林聡美さん(斉藤一美役)の一夫はとても自然な感じでした。
元々、サバサバしたイメージの女優さんですし、
実際女子校には、自分をボクとかオレと言うボーイッシュな女の子はいますから。
尾美としのりさん(斉藤一夫役)の一美は、
入れ替わる前の活発で天真爛漫な一美に比べ、ナヨナヨし過ぎて気持ち悪い、
という意見もあるようですが、あれはあくまで一美、
外見は男の子でも、やっぱり思春期の女の子なのですから、
うろたえ、途方に暮れ、メソメソクヨクヨするのは当然だと思います。
本当の一夫は男気がある少年、いつも一美を守っていました。
…ややこしい。
元同級生のアケミさんですが、
秘密を打ち明けたのに信じて貰えなかったにした方が良かったのでは?
原作(山中恒「おれがあいつであいつがおれで」)は小学6年生の設定とか、
映画の台詞はほぼ原作通りとのことで、中3らしからぬ台詞もありましたよね。
志穂美悦子さん懐かしい!樹木希林さん若い!
30年前の映画ですが、時代設定はいつ頃かしら、
もっと昔のようにも感じましたが…
入り組んだ坂道の多い尾道の風景や、踏切の音、だけでなく、
「トロイメライ」や「G線上のアリア」「タイスの瞑想曲」などにも
郷愁を感じさせられました。(乱闘場面は「天国と地獄」)
「手紙ちょうだいね」「電話してね」「またね」も無く、
別れは、ただ
じゃあな
元気でね
あぁ、一美もな
サヨナラ! サヨナラ!
サヨナラ! サヨナラ!
サヨナラ、あたし!
サヨナラ、オレ!
追ってくる来る一美を8ミリで撮り続ける一夫…
ところで、二人のその後について、解説の山本晋也さんは、
「結婚だけはしないと思う、特別な友情を育む男女になると思う」
と…
でも、私の希望は、
「二度と会うことはない。
思い出は、永遠に中3の夏の時のまま、
大人になって、もし、どこかで偶然見掛けたとしても
声を掛けることもなく、そっと遠ざかる…」
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コメント
mimosaさんへ
「尾道一人旅」とは凄いですね。でもその気持ち解ります。
「時をかける少女」と「さびしんぼう」は見ていませんが、あの雰囲気に浸りたいと思いますもの。
(尾道は「放浪記」を読んだ頃から憧れがあります。)
「転校生」は少女趣味的かも知れませんが、世代を超えて受け入れられる作品だと思います。
NHKのドラマは残念ながら見ていません。
「ブラームスはお好き」は今でも家にあるので読み返したいと思っています。
映画のフィリップはストーカーのようでしたが、原作のシモンはもっとひたむきな感じでしたよね。
俳優さんのイメージかも…フィリップはともかく、ロジェは駄目でした。
人間関係って難しいですよね。穏やかな気分でいたいのにね
blog、もう少し続けるつもりです。マイペースで。
投稿: ミチ | 2012年7月 1日 (日) 11:51
素敵な映画ですよね。
公開当時見に行きましたよ。その後、TVでも何度か見ました。
同じ監督の「時をかける少女」と「さびしんぼう」も好きで、とうとう映画の足跡巡りの三泊四日の尾道一人旅までしてしまいました。
桜のきれいな春でした。
瀬戸内海の小さな島めぐりもしました。
NHKの教育テレビで原作通りの小学生を主人公にした設定でのドラマも中々よかったですよ。
こちらも、もうかなり前になりますが。
大林監督の時代設定が不思議にアンティークで時代不詳な雰囲気もよい意味で少女趣味で好きです。
サガンの「さよならをもう一度」は中学生の頃から見たいのに見られない映画でした。
原作の「ブラームスはお好き」は一年に一度は読み返す好きな本の中の一冊です。
ストーカーのような年下の恋人も恋ゆえの行動と思えば愛しくも愚か。男は結局愚かで可愛いものだと最近やっと思えるようになりました。恋するとその愚かさに怒ったり悲しんでも嫌いになれないのです。
最近、職場の上司と合わずその人の言動に体調まで崩れます。救いは同じ気持ちで共感できる同僚が何人かいることかな…
精神的なものは辛いですね。
お体と心をいたわりながら休みながらできることならblogを続けてくださいね。
投稿: mimosa | 2012年6月30日 (土) 23:46