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2012年5月

『ある公爵夫人の生涯』(2008・英)

18世紀後半に実在したデヴォンシャー公爵夫人がモデルということで、
(故ダイアナさんの祖先にあたる女性)興味がありましたが、
少々期待外れでした。

ジョアンナ(デヴォンシャー公爵夫人)を演じていたのは、
大変美しい女優さん(キーラ・ナイトレイ)でしたが、
品格や知性といった育ちの良さが感じられず、公爵夫人に見えなかった…
(侯爵役のレイフ・ファインズは適役だったと思いました。)

洋の東西を問わず、貴族社会は背徳的な人たちの集まりだとしても、
愛の表現が興味本位で残念でした。

妻に課せられた唯一の役目は、従順と世継ぎ(男児)を産むこと、
豪華で重いドレスも、巨大なカツラも、鯨の骨のコルセットも、
纏足や首長族のリング同様、男尊女卑の証…?

(今回も否定的な感想ばかりで、すみませんでした。)

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『遙か群衆を離れて』(1967・英)

今日の『遙か群衆を離れて』、時々席を離れたりもしましたが、
なんとか最後まで見ることが出来ました。

原作者は、トマス・ハーディだったのですね。
ハーディで知っているのは、高校の頃に読んだ「テス」だけですが、
こちらも女性の物語でした。

農場の女主バスジバ(ジュリー・クリスティー)をめぐる三人の男性…
使用人の一人、元羊飼いだったガブリエル(アラン・ベイツ)、
裕福な農場主の紳士ボールドウッド(ピーター・フィンチ)、
評判の良くない軍曹トロイ(テレンス・スタンプ)…

彼女を虜にした男は…(その人だけはやめて!)
なぜか女性は危険なタイプに弱いみたいです。
特に真面目な女性は…

私はトロイが理解できませんでした。
ファニーに対する気持ちの変化、溺死を装ったのに姿を現したり…
その結果…
私はボールドウッドに同情してしまいました。

バスジバにしても酷いと思いました。
悪戯心からラブレターを送り、その気もないのにきっぱり断りもしない。
期待を持たせた挙げ句、牢獄…
自分はかつて拒絶した相手とハッピーエンド…

ジュリー・クリスティーを見ていたら『ドクトル・ジバゴ』を思い出しました。
懐かしい…

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『日の名残り』(1993・英・米)

今日の『日の名残り』、雑用に追われ、見ることが出来ませんでした。
もう一度見たかったのに、予約も忘れてしまって…本当に残念。

妥協を許さない厳格な老執事に扮していたのはアンソニー・ホプキンス、
執事というのは、現代版騎士なのかも知れませんね。

原作者が「カズオ・イシグロ」だから武士道でしょうか?

「幼い時、父の仕事の都合でイギリスに居住したため、日本語は殆ど出来ない」
と以前話されていましたから、やっぱり騎士道の方ですね。

エマ・トンプソンやクリストファー・リーブなども出演されていました。

イギリスの映画は好きですが、貴族階級のものより、
『父の祈りを』『ブラス!』のように、庶民(労働者)を描いた作品の方が感動します。

『ウェールズの山』や『サークル・オブ・フレンズ』も好きでした。
…いずれもアイルランドの映画ですが…

アイルランドと言えば、『アンジェラの灰』という作品もありましたね。
自伝的小説が原作の、とても暗くて悲惨なお話でしたが、
どうしようもない父親なのに、なぜか憎めなくて…
というより魅力的でした。
ロバート・カーライルだからでしょうか。

イギリスの俳優さんで好きなのは、
イングランドのピート・ポスルスウェイトさん…

『父の祈りを』『ブラス!』の他に『ユージュアル・サスペクツ』や『アミスタッド』、
『ロミオ+ジュリエット』にも出演されていましたが、『父の祈りを』が一番良かった。

でも、もうこの世にはいません…。

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『いつか晴れた日に』(1995・米・英)

『いつか晴れた日に』の原作はJ・オースティンの『分別と多感』(Sense and Sensibility)
女性に相続権がない時代の貴族階級のお話なので、
歯がゆくて、イライラさせられる場面も多いのですが、
最後は帳尻を合わせるかのようにホッとさせられます。

以前見た時も感じたのですが、
エドワード(ヒュー・グランド)をはじめとする男性陣が、優柔不断だったり、
軽薄な感じだったり、打算的だったりと魅力に欠けるというか…
当時の貴族の男性(労働していない男性)ってあんな感じだったのでしょうか?

エリナー(エマ・トンプソン)、マリアン(ケイト・ウィンスレット)、マーガレットの三姉妹と、
その母親以外の女性たち(貴族の女性)は、
意地悪で守銭奴だったり、お喋りだったりでウンザリしました。

マリアンと大佐の結婚にしても、なんとなく釈然としません。
あれ程情熱的な恋に憧れていたのに、結局は情熱より安定(財産)ですか?

せめて、ブランドン大佐(アラン・リックマン)
もっとダンディーな俳優さんだったなら良かったのに。

マリアンと大佐も親子ほどの年齢差のようでしたが、
エリナーと12歳のマーガレットも、姉妹というより母と娘に見えてしまいました。
ジェニングス夫人とシャーロットは母娘に見えなかった…

…数年後、マリアンとウィロビー(グレッグ・ワイズ)が再会…
が私の予想です。

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ブルーのカーディガン、ふたたび

今年は例年より夏になるのが遅いような気がします。

そこで、暑くなる前にカーディガンを、もう1枚編んでおきたいと思い、
GW頃から大急ぎで編んで、先週どうにか仕上げることが出来ました。

20120526a
製図はグレーのカーディガンの製図を応用し、目数、段数を計算し直しました。
裾、袖口、襟ぐり、前立ての一目ゴム編みも段数を変え、ボタンホールは7つに…

20120526b
左は前に同じ毛糸で編んだ「前開きベスト」…
まだ着ていません…(^-^;

この糸(スキー毛糸、ハーブカラー)の染めムラについては前に書きましたが、
染めだけではなく、太さや撚りにもムラがあって、
その上、一玉中に複数の結び目あったものもありました。
素人が結んだような結び目が…(ノ_-。)
好きな色なのに残念…口コミは当てになりませんね。

20120526c
前に解いた毛糸、どうしよう…捨てるのは勿体ないし…
でももう触りたくないので、秋になって考えることにします。

※ 「編み図」を更新しました。

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テレビが楽しみだった頃

『お早よう』では、子供たちが近所のテレビのある家に行っては親に叱れ、
それでもやめようとせず、挙げ句の果てにはストライキを起こしていました。

私も近所の友だちに誘われて(一人では行けないタイプ…)、
テレビのあるお宅に見せてもらいに行ってました。

そこで見た番組は「ポパイ」、CMは不二家のルックチョコレートでした。
(缶詰のホウレン草というのにビックリ…)

『お早よう』の兄弟のように、ストライキする程ではなかったですが、
「(クラスの)み~んな(テレビ)がある…」と言っては、
「みんなじゃないでしょ!」と母にたしなめられたものでした。

テレビを購入したのが何年生の時だったかは覚えていませんが、
当時は放送のない時間があり、放送前には「テストパターン」がありました。

家族で見ていたのは「ジェスチャー」「お笑い三人組」「私の秘密」「バス通り裏」など、
当然、子供にチャンネル権はありませんでした。

子供番組といえば、「月光仮面」「隠密剣士」「白馬童子」「怪傑ハリマオ」
「ホームラン教室」「ポンポン大将」「ふしぎな少年」等々…
今思うと、殆どが男の子向けだったように思います。

他には、「とんま天狗」「琴姫七変化」「てなもんや三度笠」「スチャラカ社員」、
「恐怖のミイラ」というオープニングからコワ~イ番組もありました。

忘れてならないのが海外ドラマ、
「名犬ラッシー」「ミスター・エド」「ルーシー・ショー」「ライフルマン」
「アニーよ銃をとれ」…他にも色々ありましたが…

 ♪ 馬がしゃべる そ~んな馬鹿な
   ほんと だけど相手は一人
   ほんとに好きな人にだけ

「ホームラン教室」の主題歌は今でも覚えています。
歌っていたのは主役の小柳徹さんでした。

 ♪ 僕らは町の子 元気な子
   空を仰げばテレビ塔
   みんなでいこう胸はって
   ほらホームランだよ ホームラン
   ホームラン ホームラン
   ホームラン教室

歌詞にある「テレビ塔」とは東京タワーのことだったかもしれません。

世代限定の話で失礼致しました…m(_ _)m

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役者さん

小津安二郎監督の『お早よう』(1959)には、
私の知っている多くの役者さんが出演されていました。

(笠智衆、三宅邦子、久我美子、杉村春子、沢村貞子、長岡輝子、
佐田啓二、東野英治郎、大泉滉、殿山泰司、佐竹明夫、桜むつ子…)

(やっぱり歳ってことですね~)

みなさん私の記憶より大分若々しくて…当然ですが…
ですが、今でもご健在なのは久我美子さんだけのようです。

久我美子さんの役は今で言うOLさん、
颯爽として、衣装も洗練されていてとても素敵でした。

(OLのことを、昔はBG(ビジネス・ガール)と言ってましたよね~)

ところで、『お早よう』には数人の子役が出演していました。

その中で、笠智衆、三宅邦子夫婦の長男「実」役は「設楽幸嗣」さん…
分かった瞬間、忘れていたはずの遠い昔の記憶が蘇ってきて、
不思議な気持ちになりました。 

母のお供だったので、映画の内容も役者さんの名前も分かりませんが、
『黄色いカラス』という題名と、設楽幸嗣という名前が記憶に残っていて、
お顔も朧気ながら覚えていたことに驚きました。

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『お早よう』(1959・松竹)

『ALWAYS 三丁目の夕日』では、不快な思いをさせてしまって御免なさい。

『お早よう』は『ALWAYS 三丁目の夕日』の設定と同じ頃に制作された映画ですが、
私が見た小津安二郎作品の中では一番好きな映画です。

映画の世界が全て懐かしい…
テレビのある家に見せてもらいに行ったり、
親に“テレビを買って!”とねだったものでした。
足付のブラウン管テレビには、緞帳のようなカバーが掛かっていました。

ミシンは当然足踏みミシンで、フラフープやセルロイドの筆箱、
「一億総白痴化」という言葉や「押し売り」さえも懐かしい。

ただ懐かしいというだけでなく、
主婦たちのちょっとした行き違いや、子供たちのストライキなど、
有りがちなことだけに、引き込まれてしまいました。

ところで、小津安二郎作品でいつも気付くのは、お洒落な襖紙でしたが、
今回はチェック(格子柄)がとても多かったことです。

5軒の文化住宅も、沢村貞子さんと佐田啓二さんの姉弟が暮らす団地も、
カーテンやコタツ掛けがチェックなのです。

三宅邦子さんをはじめ、主婦たちの着物や帯や羽織などもほとんどが格子柄で、
久我美子さんのショートコートと男の子たちのマフラーはタータンチェック、
沢村貞子さんのスカートもチェック、ミシンカバーもチェック…
大泉滉さんのパジャマ(西洋の寝間着)はバーバリー風のチェックでした。

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プラネタリウム

先月のある日のこと、
私の好みを解ってくれている我が王子様が、
家庭用プラネタリウムをプレゼントしてくれました。

でも、まだ3回しか試してなくて…

その理由の一つは、
私の部屋は8畳の洋間で、天井も2、5m位と高くないのです。
そのため、星が迫ってくるようで怖ろしくなるのですよ…。

20120522

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“(金環)日食”

今朝の「金環日食」、観測出来ましたか?

普段は特に宇宙を意識していなくても、
メディアが大騒ぎしてくれるおかげで身近に感じられます。

20120521a 20120521b   雲隠れ  20120521c 20120521d

…肝心のリングは雲に邪魔されて撮れませんでした。

日食になると、サンドボーン夫人の言葉を思い出します。

“畏怖の念を持って…”
              ~「キング農場は大騒動」(Total Eclipse)~

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

宇宙といえば、Mitaka をダウンロードしていますか?

137億光年という想像もつかない宇宙に漂っていると、
…発狂してしまうのでは…?
と怖くなり戻ってくるのですよ(笑)

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『ALWAYS  三丁目の夕日』(2005・東宝)

昨夜、『ALWAYS 三丁目の夕日』を放映していたので、
録画し少しだけ見ました。今更ですが…

「まだ生まれてなかったのに懐かしくて泣けた」
「当時を知っている人なら感動するはず」
などといった感想を見聞きしますが、本当にそうなのでしょうか?

団塊の世代をターゲットとして作られたかどうかは知りませんが、
この作品を見て感動するのは、当時を知っている世代ではなく、
若い懐古趣味の人たちのような気がしました。

というのも、昭和30年代を再現しようと頑張って作ったことは分かりますが、
何かが違う…

男の子たちの髪型や服装にしても、大人たちの衣装にしても、言葉遣いにしても、
私の記憶とは違う。違和感ばかりで懐かしさが感じられないのです。
(以前見た「純情きらり」のようにリアリティーない…)

この映画に限りませんが、昭和を舞台とした作品を見て気になることの一つが、
室内などを過剰なほどセピア色にしていることです。

レトロな雰囲気を演出するためには仕方ないことなのでしょうが、
家具、壁、柱、窓、書物等々、埃焼けと言うより、異常に黒ずんでいる。
実際は、あんなに薄汚れた中で暮らしていたわけではありません。

CGも期待外れ…
いっそ全部アニメにした方が良かったのでは。

「テレビが来た頃」の作品では、小津安二郎監督の『お早う』が良かったです。
『お早う』は子供の頃の記憶と重なり、懐かしく見ることができました。

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『めし』

連載小説だった『めし』は、林芙美子の急逝で未完となり、
そのため、映画化された『めし』の終盤は創作でした。

直前には房州白浜へ取材に出掛けていたとのことですが、
それを生かされることもなく、さぞかし無念だったことでしょう。

原作を読みましたが、映画では省かれていた箇所も多く、
興味深く読むことが出来ました。
(…子供がいないのは妻に原因があり、養子を迎えようとして子供に会いに行ったり、
大阪の料亭に嫁いだ同級生の富安せい子が、
離婚を決意し子供たちを連れて東京の実家に戻っていたり…)

小説の構想は、生前語られていなかったようですが、
私としては、折角決心して家を出たのですから、
映画のように元の生活に戻るのではなく、自立の道を歩んで欲しいと思いました。

ところで、これまでも林芙美子の著書は何冊か読みましたが、
『めし』に関しては読点がとても多いように感じました。

読みやすくするための読点も、
あまり多いと却って読み難くなるものですね。

20120518 『めし』
(大活字シリーズ)
林芙美子/著
埼玉福祉会

20120518b ←左は文庫本
借りることが出来たのはこの「大活字シリーズ」だけでした。
でも、こんなに大きな文字なのに(14P?)メガネを掛けても読めません…(涙)

「めし」→「林芙美子」→「放浪記」→「でんぐり返し」…
森光子さんはお元気なのでしょうか…?

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『死刑台のエレベーター』(1957・仏)

録画してあった『死刑台のエレベーター』を見ました。

有名な映画なので題名くらいは知っていましたが、
完全犯罪を企てたにしては、杜撰な犯行で拍子抜けしてしまいました。

完全犯罪が崩れたのは「エレベーターに閉じ込められたから」というより、
始めから場当たり的な気がしました。

日没前なのに、通りに面しているベランダから、ロープを使って上階によじ上ったこと、
カーテンの無い一面ガラス窓の社長室で銃殺したこと、
物的証拠のロープを片付けなかったこと、
それに気付き、ロープを取りに戻る際、階段を使わなかったこと、
(…社員ならエレベーターの電源が切られることを知らないはずはない…)
ピストルと二人が写った小型カメラを残し、
キーを付けたままの車(オープンカー)から離れたこと…等々。

疑問も多かったです。
会社の前にあったロープを少女が持ち去りましたが、
どこに持って行ったのでしょう?
…重要なシーンではないのかもしれませんが。
そのロープは誰がベランダから外してそこに置いたのでしょうか?

また、朝になってエレベーターから脱出したジュリアン(モーリス・ロネ)が、
ロープの件を忘れていたことも不可解でした。

「ドイツ人殺しならアリバイが無いから死刑だった。
カララ氏殺しは懲役10年…5年で出られる」
と言った刑事の言葉…
「動機に関係なく、外国人殺しは死刑」ということなのでしょうか?

一番合点がいかなかったのは、
完全犯罪が失敗に終わったと知った時のフロランス(ジャンヌ・モロー)の独白です。

「10年、20年…私は年を取る…一人で寝て、起きるのも一人…」
愛人が殺人罪で逮捕されたというのに、案じる気持ちは起きなかったようでした。

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ゴボウを買って・・・

先日、スーパーでゴボウを買った時のこと、
会計の際、レジ係の女性が、いきなりゴボウをバキッと折ってしまいました。
(折ったというより、「へし折ってしまった」でした。)

ゴボウは普通、
 (1) 皮付きで長いまま細長いビニール袋に
 (2) 皮付きで30cm近くに切りビニール袋に
 (3) 長いまま皮を取り細長いビニール袋に
 (4) 皮を取り30cm近くに切りビニール袋に
の状態で売られていますが、私はこだわりはなく、たまたまその時は(1)でした。

ゴボウは長いまま調理することはないものだから、
「折ってくれてありがとう」と感謝するべきだったのかも知れませんが、
心の狭い私は、ただ唖然とするばかりで、お礼どころではありませんでした。

どこにでもある日常のほのぼのとした一コマでした…???

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「100分 de 名著」~フランツ・カフカ『変身』~

今回もテレビ番組の話題で恥ずかしいのですが、
「100分 de 名著」という番組をご存じでしょうか? 

名著を25分ずつ4回に分けて解説する番組なのですが、
見たいと思いながらも、ついつい忘れがち…
でも今月はカフカの『変身』ということでしっかり予約しています。

『変身』で真っ先に浮かぶのは「巨大な虫」、
そして「不条理」「実存主義」でしょうか…。

『変身』は中高生の頃に読む人が多いようで、私もその一人、
今も『審判』『ある流刑地の話』など何冊かの文庫本が残っていますが、
内容を覚えているのは『変身』だけです。

『変身』にしても、グロテスクで残酷で非現実と思っていましたが、
番組を見て、初めて変身に込められたカフカの思いが理解出来ました。

「巨大な虫」はカフカ自身の「出社拒否願望」、
家族や世間から逃れ、自由になりたい。

虫になったグレーゴルが自室に閉じこもり、
天井を這い回ったり、ぶら下がったりして遊ぶのは、
辛い現実から逃れ、心の赴くままに生きたいという「逃避願望」…

虫になったグレゴーリが、窓から外の人間を眺めていたのは、
人間のしがらみから逃げ自由を手にしたにも関わらず、
心のどこかで人間との関わりを持ちたいという気持ちの表れ、
でも一歩を踏み出す勇気がない…

唯一面倒を見てくれている妹も、次第に「これは兄ではない」と思うようになり、
ただの厄介者としか感じなくなる。

ちょうど認知症になった親を介護し続けた結果、
心身共に疲れ果ててしまった家族と同じなのでしょう。

読み方によってはとても身近な作品、
中学生では早すぎました。私には。

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「グレーテルのかまど」

「グレーテルのかまど」という番組をご存じですか?

「グレーテルのかまど」はEテレで放送中のスイーツの番組で、
私は2ヶ月前に「樋口一葉のおしるこ」を偶然見たのですが、
雪の日に半井桃水のもとを訪れた一葉に、桃水が作ってくれたお汁粉のお話を再現した
美しくも儚く乙女心をくすぐられるような叙情的な内容でした。

こんなに素敵な番組があったとは…と感激したのですが、午後の5分番組だったため、
NHKによくある時間調整的(?)なものだろうと思っていたところ、
しばらく後、また偶然、土曜日の夜放送の「舞妓はんのゼリー」と「アメリのクリームプリュレ」
を見ることができました。25分番組でした。

お稽古帰りの舞妓さんが立ち寄るお店のゼリーは三種類で、
どれも数種類の季節のフルーツが入った、通常より3倍固い濃度のゼリー、
着物を汚さないためとか…
『アメリ』は私が好きな映画、あのカフェや映画のシーンが流れたので、
また映画が見たくなりました。

HPには写真付きの詳しいレシピが30種程紹介されていて、
(印刷用PDFもありました。)
最近は「スヌーピーのチョコチップクッキー」「ゴットファーザーのカンノーリ」
「ムーミンママのパンケーキ」が放送されたようでした。

特に「宮沢賢治のアイスクリーム」「坂本龍馬のカステラ」「赤毛のアンのチェリーパイ」
「ローマの休日のジェラート」「パリジェンヌのマカロン」が見たかった…

と言っても、私はスイーツ作り部分は二の次で、
スイーツに秘められた物語の美しい映像に惹かれているのです。

ところで、スイーツを再現するのは15代ヘンデルですが、
ヘンデルを指南する「かまど」の声(言葉遣いや喋り方)がとても嫌なんです。

じゃ誰だったら良かったの?と言われたら…
…もしもご健在だったなら岸田今日子さんかしら…

明日は「檀一雄の杏仁豆腐」、…忘れそう。

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『浮き雲』(1955・東宝)

今日(7日)は朝から頭痛がひどく何も出来なかったので、
BSの『浮雲』(成瀬巳喜男監督)をぼんやり見ていました。

『浮雲』の原作(林芙美子)は読んでいませんが、
映画は以前にも一度見ました…でも途中でギブアップ。
元々、不倫を題材としたメロドラマが嫌いで、我慢の限界だったから。

主人公の二人が、罪悪感を抱きながらも心底愛し合うならまだしも、
『浮雲』には「愛」が感じられないのです。

不誠実な既婚の富岡(森雅之)はもちろんのこと、
男の本性を知りながら決別出来ず、逢う度に恨みがましく相手を責め、愚痴を言い、
それでも惨めにすがりつくゆき子(高峰秀子)に嫌悪感さえ感じてしまいました。

今以上に女性の経済的自立が困難な時代だったにせよ、
ゆき子の態度は純粋な愛ではなく、意地や執着のように思えてウンザリでした。

ゆき子も、彼の妻(中北千枝子)も、人妻のおせい(岡田茉莉子)も、
死んでしまった…
しかも富岡は、ゆき子に妻の葬儀代を無心するのですから。

伊庭(山形勲)は論外としても、男というのは、妻や決まった相手がいたとしても、
切っ掛けさえあれば、富岡のようになる生き物なのでしょう。

「いいえ、世の中には誠実な男だって沢山いるよ」
を信じたいけれど…



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COOL JAPAN マンガ~MANGA~

マンガに対する意識は日本と海外では大きく違うようで、
国によってはマンガは子ともが見るもの、大人が見ると非難されるそうです。

中村伊知哉さんが
「日本人は誰もがマンガを読み、誰もがマンガがかける」
ようなことを話していました。

多分「可能、容認」というような意味だったのでしょうが、
海外向けの番組の発言としてはどうかしら…?
誤解されかねないような気がしました。

また「少女マンガの歴史」について
「50~60年年代は、手塚治虫、赤塚不二夫といった男性マンガ家がかいていた
女流マンガ家は70年代以降」
これもちょっと…

私は小学生の頃、月刊少女雑誌の『りぼん』などを読んでいましたが、
男性漫画家で記憶があるのは、恐怖マンガの楳図かずおさんぐらいです。

子供だったので漫画家についての興味もなかったのですが、
わたなべまさこさん、牧美也子さんといった女性漫画家についてはよく覚えています。
(牧美也子さんの夫は松本零士さんです。)

特に牧美也子さんの絵はとても人気があって、薄紙に写していた友だちもいました。
(内容は忘れましたが、牧美也子さんの「少女三人」にみんな夢中でした。)

当時の月刊少女雑誌は、マンガ雑誌ではありませんでした。
グラビア、読みものも多く、お洒落な付録もあり、あくまで小学生が対象だったので、
読み物やマンガの内容に「恋愛」はなかったです。

グラビアのページには、いつも少女だった森下洋子さんや大原永子さんが登場し、
マンガの内容もバレエの主役をめぐって、といったものが多かったです。

小学生の頃は親に買ってもらっていた『りぼん』『少女フレンド』(雑誌)なども、
中学生になると自主的に卒業し、お小遣いで『女学生の友』を買っていました。

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lalaTVのアボンリー、ふたたび

すでにご存じの方も多いでしょうが、
lalaTVの「アボンリーへの道」、7日から再スタートしますね。
(月~金 17:00~)

4月にサイトを覗いた時「今月の放送予定はありません」とあったので、
放送終了ではないと思っていました。

ただ、続きの第5シリーズからではなく、第一話からでした。
こんどこそ最終回まで放映して欲しいです。

とは言っても私は見られませんが…

アボンリーの住人になって、
へティ・キングに叱咤激励して欲しいわ。

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ネジを巻いて!

ご無沙汰しております。
色々あって遠ざかっていました。

このまま消えてしまおうと思っていましたが
帰る道が判らなくて途方に暮れた「夢」のように心細くて、
戻って来てしまいました。

世間ではゴールデンウィークも後半…
季節の移ろいにも付いて行けない…

"私の青春は終わった…"
と感じたあの日から時は止まったまま。

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