『お早よう』(1959・松竹)
『ALWAYS 三丁目の夕日』では、不快な思いをさせてしまって御免なさい。
『お早よう』は『ALWAYS 三丁目の夕日』の設定と同じ頃に制作された映画ですが、
私が見た小津安二郎作品の中では一番好きな映画です。
映画の世界が全て懐かしい…
テレビのある家に見せてもらいに行ったり、
親に“テレビを買って!”とねだったものでした。
足付のブラウン管テレビには、緞帳のようなカバーが掛かっていました。
ミシンは当然足踏みミシンで、フラフープやセルロイドの筆箱、
「一億総白痴化」という言葉や「押し売り」さえも懐かしい。
ただ懐かしいというだけでなく、
主婦たちのちょっとした行き違いや、子供たちのストライキなど、
有りがちなことだけに、引き込まれてしまいました。
ところで、小津安二郎作品でいつも気付くのは、お洒落な襖紙でしたが、
今回はチェック(格子柄)がとても多かったことです。
5軒の文化住宅も、沢村貞子さんと佐田啓二さんの姉弟が暮らす団地も、
カーテンやコタツ掛けがチェックなのです。
三宅邦子さんをはじめ、主婦たちの着物や帯や羽織などもほとんどが格子柄で、
久我美子さんのショートコートと男の子たちのマフラーはタータンチェック、
沢村貞子さんのスカートもチェック、ミシンカバーもチェック…
大泉滉さんのパジャマ(西洋の寝間着)はバーバリー風のチェックでした。
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