「100分 de 名著」~フランツ・カフカ『変身』~
今回もテレビ番組の話題で恥ずかしいのですが、
「100分 de 名著」という番組をご存じでしょうか?
名著を25分ずつ4回に分けて解説する番組なのですが、
見たいと思いながらも、ついつい忘れがち…
でも今月はカフカの『変身』ということでしっかり予約しています。
『変身』で真っ先に浮かぶのは「巨大な虫」、
そして「不条理」「実存主義」でしょうか…。
『変身』は中高生の頃に読む人が多いようで、私もその一人、
今も『審判』『ある流刑地の話』など何冊かの文庫本が残っていますが、
内容を覚えているのは『変身』だけです。
『変身』にしても、グロテスクで残酷で非現実と思っていましたが、
番組を見て、初めて変身に込められたカフカの思いが理解出来ました。
「巨大な虫」はカフカ自身の「出社拒否願望」、
家族や世間から逃れ、自由になりたい。
虫になったグレーゴルが自室に閉じこもり、
天井を這い回ったり、ぶら下がったりして遊ぶのは、
辛い現実から逃れ、心の赴くままに生きたいという「逃避願望」…
虫になったグレゴーリが、窓から外の人間を眺めていたのは、
人間のしがらみから逃げ自由を手にしたにも関わらず、
心のどこかで人間との関わりを持ちたいという気持ちの表れ、
でも一歩を踏み出す勇気がない…
唯一面倒を見てくれている妹も、次第に「これは兄ではない」と思うようになり、
ただの厄介者としか感じなくなる。
ちょうど認知症になった親を介護し続けた結果、
心身共に疲れ果ててしまった家族と同じなのでしょう。
読み方によってはとても身近な作品、
中学生では早すぎました。私には。
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