『本日休診』(1952・松竹)
『本日休診』、録画して一月半も経ってしまいました。
(渋谷実監督、原作は井伏鱒二の同名小説)
戦後再出発して一年の記念日の三雲医院、
「本日休診」の札を掛け、ゆっくり昼寝でもと思っていた大(先代)先生でしたが、
訳ありの患者が次から次へとやって来て、昼寝どころか一日中てんてこ舞い…
ばあやの息子の勇作にとって、戦争は終わっていません。
常軌を逸した勇作の言動(戦争によるPTSDに思えます)に、
周囲の人たちは話を合わせてやります。
事情を知らない人にも、
「キチガイだから許してやってくれ」と…
「まだ幸せだよ。キチガイでもカタワでも生きて帰ったんだから」
「手紙キチガイでしょうか?」
「そりゃキチガイじゃないよ。手紙マニア、趣味だよ」など、
「キチガイ」という台詞が何度も出てきましたが、
昔は配慮が無かったというより、差別という認識が無かっただけ…
最初は、“そんな馬鹿な…でもこれはコメディーだから…”
と笑ったりしながら気楽に見ていましたが、
見終わってみると、考えさせられることの多い反戦映画でした。
特に、みんなで少年航空兵(雁)見送るラストシーン、
安堵したような清々しい表情の中尉(三國連太郎)とは対照的に、
息子の足にすがりつく母(長岡輝子)の姿に思わず泣けてしまいました。
「少年航空兵たちは両親の所に帰還したんだよ」
大先生の言葉に、勇作も終戦を迎えられたのかも…
古い映画ですが知っている俳優さんも多かったのです。
(三國連太郎、長岡輝子、佐田啓二、岸惠子、鶴田浩二、淡島千景、
望月優子、多々良純、十朱久雄…)
主役や重要な役柄なのに知らなかった俳優さんたちもいました。
(柳永二郎、角梨枝子、田村秋子)
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