『めし』(1951・東宝)
録画してあった『めし』を見ました。
原作は林芙美子の未完の絶筆小説、
監督は成瀬巳喜男、脚本は田中澄江、
となれば女性が共感出来るのも当然…
ですが、現代女性には難しいかもしれません。
大恋愛の末に結婚して5年、子供のいない夫婦にろくに会話も無い。
傍目には幸せそうに見えても、専業主婦の毎日は女中と同じ、
家事と家計の遣り繰りに追われ、愛情の対象は猫だけ…
典型的な倦怠期症状…
妻の台詞の端々に、やるせない不満や夫への皮肉が込められていました。
鬱憤が堪っているところへ、20歳の夫の姪が家出して来て居付いてしまう。
男性に媚びを売るタイプで、夫に対しても「叔父さん」ではなく名前で呼び甘える。
悪気はないけれども無神経で、頼んだ家事もしないのですから、
ストレスが溜まって当然、大阪見物の観光に同行しないのも理解できます。
「おまけ」は惨めですから。
でも男性には妻がなぜいらいらしているか理解出来ないでしょうね。
男前で真面目で暴力も振らない。恵まれている方なのに何が不満なのだ。
単なるワガママなのだ…と言うでしょうね。
最後は予想像通りの展開でしたが、
林芙美子さんはどんな結末を考えていたのでしょうね。
障子には花型の切り貼りが幾つもあったり、
「外米臭うかしら?」という台詞や、
手紙を破って列車の窓から捨てる演出(今なら問題になります)に
時代を感じました。
大阪や東京の当時の風景にも興味津々、
「くいだおれ人形」が映ったのには驚きました。
古くからあるのは知っていましたが、昭和26年の作品ですから。
主演は原節子さん上原謙さんでしたが、
他に、杉村春子、浦辺粂子、長岡輝子、中北千枝子、風見章子
山村聰、小林桂樹、大泉滉、進藤英太郎…
と、知っている名前が大勢出ていましたが、
あまりの若さに気付かなかった俳優(女優)さんもいました。
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