« 節分 | トップページ | 磯野家 »

『風の中の子供』(1937・松竹)

保存してあった坪田譲治原作の映画『風の中の子供』を見ました。

「甲」が多い兄の善太、「乙」ばかりの弟三平の夏休み…
町や郊外を走り回ったり、川で泳いだり、木に登ったり、
ターザンの真似をしたり…

昭和12年公開映画と言えば、私の親世代が子供だった時代で、
私の子供の頃は、周りに自然が無かったせいか、
男の子たちの遊びも、映画とは全く違うものでしたが、とても懐かしく感じました。

でも、蚊帳で寝たり、敷き布団の上で水泳の真似をした記憶はあります。
水泳ごっこ(オリンピックごっこ)では、
“三平選手ガンバレ!”を連呼していましたが、“前畑ガンバレ”の真似でしょうね。

“第2コース、マーサさん、第3コース、ドイツ人、第4コース、アメリカ人…”
には笑ってしましました。

私文書偽造の嫌疑をかけられた父親が連行されたことで、
近所の子供たちから避けられるシーンがありました。

“○○ちゃん あそばない~か~”と呼びかけても、
誰もが、“あ~と~で~”と返してくるのです。

これは、「今は都合が悪いから後で遊ぼう」ではなく、
「お父さんが悪いことした家の子とは遊ばないよ」という意味なのです。
子供でも遠回しに断っていたことに驚きました。

小一の三平はおじさんの家に預けられますが、
大木に上ったり、たらいで川下りしたり、
河童に会いに行て戻らず、村中で捜索したら曲馬団で練習していたり、
とおじさん夫婦を困らせ、家に戻されてしまうのですが、
三平は家が恋しいことと、活発で好奇心が強いだけなのに、
「いたずら」と片付けられてしまったのが可哀想でした。

動機に関係無く、大人にとって面倒な行いは「いたずら」と言われてしまう、
母親だけは三平の気持ちを理解してくれて良かったですが。

嫌疑が晴れたお父さんが無事帰宅して、
大人たちが談笑している部屋の前を、
「おとうさん!」と叫びながら兄弟が何度も走り去るシーンが胸に応えました。

男の子たみんな坊主頭、
女の子はワンピースで「ワカメちゃんカット」、
お母さんは着物にエプロン、髪型も磯野フネさんと同じでした。

俳優さんは全員知りませんでしたが、
巡査役(端役)の笠智衆さんだけは口調で気付きました。

それにしても、子役が「爆弾小僧」「アメリカ小僧」「突貫小僧」とは…

|

« 節分 | トップページ | 磯野家 »

* 映画」カテゴリの記事