『兄とその妹』(1939・松竹)
『兄とその妹』(監督・島津保次郎)を見ました。
1939年の作品なので画質や音声が良くないのは仕方ないのですが、
女性たちの声はしっかり分かるのに、佐分利信さん始め、
男性陣の台詞がとても聞き取りにくくて…。
戦前のサラリーマン家庭の生活が興味深かったです。
お風呂を沸かす場面がありましたが、焚き口が家の外…
私は時代劇でしか見たことがないのです。
冬場や雨の日は大変だったでしょうね。
間宮の妻・あき子(三宅邦子さん)のかいがいしいことと言ったら…
当時の平均的な専業主婦の姿なのか、理想像なのかは分かりませんが、
風邪で39度(?)あるのに、重役との囲碁で深夜に帰宅する夫を待ち、
愚痴や文句は一切言わず、翌朝は夫の洗面の用意をして、夫を優しく起こし、
(グラスにはお湯が、歯ブラシには歯磨きが)朝から拭き掃除をして、
夫の着替えを手伝い、夫の対し反論することもなく、
風邪でも家事をおろそかにすることも無く、昼間は家事の合間にお裁縫を…
それに、義妹の誕生日にはプレゼントを用意し、
ご馳走を作ってお客さんをもてなして…戦前の女性は大変でした。
間宮の妹・文子(桑野通子さん)は、
同時翻訳しながらタイピング出来るほど有能な秘書で、
今でいうところのキャリアウーマンなのです。高給取りの。
飲食のシーンが多かったのですが、
朝食がバタートーストだったのには驚きました。
長火鉢に長方形の餅網を置き、食パンを焼いていました。
ティーポットで紅茶(ティーバッグではありません)を入れ角砂糖は二つ。
ゆで卵もエッグスタンドに…。
文子は、風邪の義姉のために、銀座でアイスクリームを買って帰ったり、
日曜日には三人で箱根登山鉄道に乗ってハイキングで出かけたりも…。
コッフェルでコーヒーを入れ、パイナップルの缶詰を開けていました。
普段着物のあき子も、ハイキングでは膝下丈のキュロットスカートで、
ブラウスのボタンはイミテーションのパールボタン。
懐かしい…パールボタンは私も捨てずに持っています。
長時間煮込んだというおでん(?)や、栗羊羹が美味しそうで…
文子の誕生会のメニューは分かりませんでしたが、
湯飲み、ご飯茶碗、吸い物椀ともに蓋付き、お客様用なのでしょうね。
誕生日に男性から薔薇の花束が贈られたり、
(文子に求婚した男性は上原謙さん(加山雄三さんの父)でした。)
ハイカラな暮らしぶりですよね。
驚くことや疑問も多かったですが一番驚いたことは、
間宮の知人(笠智衆さん)宅にインターフォンがあったこと。
ラストで大陸に向かう時、船ではなく飛行機だったのも意外でした。
ところで疑問の一つなのですが、
間宮の洗面用にと、風呂桶からお湯をすくい出して洗面器に入れていましたが、
まさか昨晩の残り湯じゃないでしょうね…?
女性たちの言葉遣いが美しく、文子にしてもそうなのですが、
ただ「おいしいわよ」とは言わず「うまいわよ」と言っていたのが気になりました。
差別とは思いますが、女性が「うまい」と言うに抵抗があって…
男性に伍する能力がある女性だからでしょうか…?
内容に関係の無いことばかり長々と書いてごめんなさい。
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