『姉妹』(1955・中央映画)
18日に放送された『姉妹』(家城巳代治監督)をようやく見ることが出来ました。
この映画は、最近見た昔の邦画の中で、一番私の好みでした。
思慮深く優しい姉と、天真爛漫で正義感の強い妹、
姉妹は町の学校に通うため、山の親元を離れ伯母夫婦の家で暮らしています。
姉けい子役は野添ひとみさん、妹とし子役は中原ひとみさん、
お二人とも美しい…
野添ひとみさんといえば、晩年のイメージしかない私は、
『暖流』の時も美しさに驚きましたが、こちらの清純な美しさといったら…
中原ひとみさんも、溌剌としてとても素敵でした。
中学生の頃に読んでいた『女学生の友』を思い出してしまいました。
この家城巳代治監督は、もしやかして…
後の解説によれば、やはり「レッドパージで松竹を追放された」とのことでした。
たとえば、
お金持ちなのに幸せではないとし子の同級生。
貧困ゆえに「娘を買ってくれ」と言った母親に、とし子の靴代をあげたり、
「学校さえやれない家もあるのだから」と、とし子に修学旅行を諦めさせた父。
伯母さんの知人の「結核性の病気の一家」の暮らしぶり。
それに「首切り反対」のビラや、
ロシア民謡や労働歌を歌う発電所の労働組合員。
台詞にしても、
「戦争なんか大反対よ」
「この世には悲惨なことがいっぱいあるでしょ?
いつも自分が正しくいられるようにと…」
「政治家はみんなやってるじゃないか(賄賂)」
「とし子は虚栄廃止論者なんだね。
手ぶらで帰っても、温かく迎える姉弟であって欲しい」
「男だったら革命だって起こせるし…」
「都会へ出ても就職難だし、幸福とは限らないわ」
「みんな同じ人間じゃないか、私たちは悪いことなんかしてないよ。
…お金さえあれば、こんな病気(結核)にもならないし…」
「神様の試練と言うけれど、政治の貧困だと思うわ」
「首切りなんて不合理よ、あんないい人を追い出すなんて…」
「どうして正しいことが、その通りにならなの?」
「家計簿は母さんの苦労簿だ」
「そんなの封建的よ。私は自分で探すわ(結婚相手)」
など…
一番印象に残った台詞は、
好きな人がいるのに、お見合い結婚してしまう姉に言った
とし子の言葉です。
「もし、いじめられることがあっても、泣き寝入りしちゃ駄目よ。
…私は、どこまでも私の方法でやるわ。
だから、姉ちゃんは姉ちゃんの方法で幸せになってね」
出演は他に、
望月優子(伯母)、多々良純、北林谷栄、加藤 嘉、内藤武敏、殿山泰司など、
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