『真実一路』(1954・松竹)
山本有三の『真実一路』、映画は見ていないけれど、小説は昔読んだ…
と思っていましたが、映画を見出した瞬間、思い違いと気付きました。
『真実一路』→山本有三→『路傍の石』…
というように、昔、太田博之さんや池田秀一さん主演の『路傍の石』とか、
『次郎物語』
(下村湖人)があって、映画と小説を読んだり見たりしたために、
それらとイメージが重なって、『真実一路』も読んだと錯覚したようです。
前置きが長くて失礼致しました。
そんなわけで『真実一路』も『路傍の石』のような作品かと思っていましたが、
昭和10年頃『主婦之友』に連載された小説だけにメロドラマのような内容でした。
亡き恋人の子どもを身ごもったまま、世間体を気にする身内の圧力により、
愛を感じない相手(山村 聰さん)と結婚をしたむつ子(淡島千景さん)は、
二人の子どもを捨てて家出し、カフェーを経営しながら若い愛人と暮らしている…
(何となく『エデンの東』が重なりました。)
そこまではどうにか理解できますが、愛人に去られ、
一度は子どもたちの元に戻って、
何も聞かされていない小学生の息子に、自分が母と名乗っておきながら、
愛人が忘れらせず、居場所の目星をつけ息子を道連れに逢いに行った挙げ句、
結局また家出してしまう…
母のせいで破談になってしまう娘(桂木洋子さん)、
母親がいないことでイジメの対象になり、寂しさから非行化寸前の息子、
そして血の繫がらない娘と、乳飲み子だった息子を育て、病死する父…
むつ子の生き方が「真実一路」と言うことらしいのですが、
私には共感できませんでした。
母として生きるか、女として生きるか…
今の時代なら普通なのでしょうが、戦前は両立は不可能だったのでしょう。
他に、多々良 純さん(むつ子の弟)、佐田啓二さん(息子の担任)、その他。
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