« 『安城家の舞踏会』(1947・松竹) | トップページ | 『親友交歓』 »

『第2図書係補佐』

20111213 『第2図書係補佐』
又吉直樹/著
幻冬舎よしもと文庫
2011/11/25

もう本は買わないつもりだったのに、amazonに注文してしまいました。
(…図書館にまだ無かったので…)

なぜ、お笑い芸人又吉直樹さんの本を購入したかと言えば、
又吉さんのブログ、ツイッターのファンだからです。

なぜ、ブログ等を読むようになったかと言えば、
「神保町公式ガイド」の表紙を飾ったことがあるくらい文学通で、
太宰治を待受画面にしているほど太宰ファンと聞いたからなのです。
(最近はお忙しいらしく更新が遅めです。)

『第2図書係補佐』は、数年前、劇場のフリーペーパーに連載されていたコラムを
まとめたもので、目次には47の本のタイトルが並んでいますが、
書評のたぐいではありません。
連想される又吉さんご自身の逸話のエッセイです。

“…僕には書評を書く能力はありません。…皆様にも失礼です。”
本書のタイトルもそうですが、謙虚な方なのですね。

太宰治の短編を読んでいると、
“これは私小説ではなく、随筆では…?”と錯覚ししてしまいますが、
又吉さんのエッセイは、“これはミニ私小説では…?と思ってしまいました。

『親友交歓』で書かれていた太宰治との偶然には驚きました。

又吉さんが上京して、不動産屋さんに紹介され初めて住んだのが三鷹で、
その古いアパートの住所は、太宰が最後に暮らした家の現住所…
ファーストキスは太宰が入水した日と同じ日で、
その時の彼女の名前はみちこ…太宰夫人の名もみちこ(美知子)。

しかも、又吉さんのお父さんが出身地の沖縄に建てた家が、
偶然、飲料水のCMに使われたそうですが、
CMの設定が「走れメロス」風で、「又吉」の表札が「太宰」に変わっていた…

「偶然」を強調されていましたが、(私もそう思います。)
占いとか因縁とか霊とかを信じる人なら、
「偶然」として片付けられないかも知れません。

最後の中村文則さんとの対談ですが、
中村さんの話が多くて、私には詰まらなかったです。
むしろ書き下ろしを追加して、50のエッセイ集にしたの方が嬉しかったのに。

偏っているとは自覚していましたが、47冊中、私が読んだ本は数冊とは…
タイトルさえ知らなかったものが多く情けなかったです…(涙)

20111213b
『親友交歓』は『ヴィヨンの妻』に収められています。
新潮文庫(写真は240円、現在はカバーも替わって税込380円)
と書かれていましたが、
右側の私の『ヴィヨンの妻』は同じカバーながら90円…(^-^;

。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.

<目次>
はじめに

『尾崎放哉全句集』 
『昔日の客』
『夫婦善哉』
『杳子 (『杳子・妻隠』より)
『炎上する君』
『万延元年のフットボール』
『赤目四十八瀧心中未遂』
『サッカーという名の神様』
『何もかも憂鬱な夜に』
『世界音痴』
『エロ事師たち』
『親友交歓 (『ヴィヨンの妻より』)
『月の砂漠をさばさばと』
『高円寺純情商店街』
『巷説(こうせつ)百物語』
『告白』
『江戸川乱歩傑作選』
『蛍川・泥の河』
『中陰の花』
『香水 ある人殺しの物語
『イニシエーション・ラブ』
『山川記 (『李稜・山月記』)
『コインロッカー・ベイビーズ』
『銃』
『あらゆる場所に花束が……』
『人間コク宝』
『アラビアの夜の種族』
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
『銀河鉄道の夜』
『逃亡くそたわけ』
『四十日と四十夜のメルヘン』
『人間失格』
『異邦の騎士 (改訂完全版)
『リンダリンダラバーソール いかす!バンドブーム天国』
『変身』
『笙野頼子三冠小説集』
『ジョン・レノン対火星人』
『夜は短し歩けよ乙女』
『袋小路の男』
『パンク侍、斬られて候』
『異邦人』
『深い河』
『キッチン』
『わたしたちに許された特別な時間の終わり』
『友達 (『友達・棒になった男』より)
『渋谷ルシファー』
『宇田川心中』

【対談】又吉直樹×中村文則
さいごに

|

« 『安城家の舞踏会』(1947・松竹) | トップページ | 『親友交歓』 »

* 本」カテゴリの記事