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『エル・スール』(1982・西/仏)

『エル・スール』は、『ミツバチのささやき』と同じく、ビクトル・エリセ監督作品。

「エル・スール」は「南」のこと、
一度も戻ることなく、「北」で亡くなった父の故郷「エル・スール」…

自ら死を選んだ父のとの想い出を、成長した娘のエストレリャが回想する。

1957年の秋、
ただならぬ気配と、父の名前を叫ぶの母の声で目覚めた15歳のエストレリャ…
枕の下には、父が大切にしてた鉄の振り子が…
二度と父が戻らないと悟ったエストレリャの頬に涙がつたう…

父の思い出をたどるエストレリャ…
家の前の道を「国境」と言っては、バイクに乗せてくれた父…
初聖体拝受のお祝いの日、父と踊った「エン・エル・ムンド」…

成長するとともに、エストレリャは父の秘密を知るように…

秋のある日、珍しく父は学校に来て、娘を昼食に誘う。
食事のあと、父に疑問をぶつけるエストレリャ…
いきなり席を立ち、洗面所で顔を洗う父…動揺を誤魔化すため…?

「(授業を)さぼれないか?」
父の言葉を理解出来ないとばかりに学校に戻ろうとするエストレリャに、
「カリオコに気をつけて」と…それが父の最後の言葉。

一人残った悲しげな父の姿…

隣の部屋では結婚パーティーが行われていて、
新郎新婦が「エン・エル・ムンド」を踊っている…

スペイン内戦で人生が狂わされてしまった父の苦悩。
エストレリャの質問が、父を更に絶望へと追い遣ってしまったのだろうか…?

娘との最後の会話が辛すぎる…
父の悲しみが、私の心にまで染み込んでしまった…。

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コメント

mittleさんへ
私は何故昼食を誘ったのかを知りたいと思いました。
娘との絆を深めようとして?それとも最後のランチ?
妻と娘に秘密を知られ、疑惑を抱かせてしまったことへの自責の念が死を急がせたのでしょうか?原作を図書館で予約したのですが、どうも原作はだいぶ違うらしいのですよ…。

投稿: ミチ | 2011年12月 3日 (土) 22:13

この前放送されていた映画ですね。最後の45分ほどしか見れなかったのですが、見入ってしまって..
彼女が学校をサボったら、また結果が違ったのかな、とか先延ばしになっただけかな、なんて考えてしまいました。

投稿: mittle | 2011年12月 3日 (土) 19:12

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