『畜犬談』
太宰治は本当に面白いです。
読まない人の中には(私も詳しくはありませんが…)、
陰鬱なイメージの先入観があるのかもしれませんが、
ユーモラスな作品もあり、作品によって文体も違うので、魅力ある作家だと思います。
『お伽草紙』や『畜犬談』などは面白く、
『畜犬談』を最初に読んだときは、本当に可笑しくて笑ってしまいました。
時代が違うので(『畜犬談』は1939年)、私は『畜犬談』の<私>のように、
<野犬>や<放し飼いの犬>を見掛けたことはありませんが、
<私>の気持ちがよく分かります。私も犬が苦手なので…
苦手といっても嫌いというわけではないのです。
それどころか、TV等で見る分には心から「可愛い!」と思う…
でもいざ本物に出くわすと、噛まれそうな気がして怖いのです。
“それなら口輪をしていれば怖くない?”かと言えば、
それはそれで、「猛犬注意」のレッテルのようで、よけい怖ろしいのですが…
なぜそんなに怖いのかと考えてみると、
生まれてから一度も飼った経験が無いので、馴れていないからなのでしょう。
では、なぜ私の親が飼わなかったかといえば、
母自身が、犬を怖がっていたからなのです。
というのも、若い頃、近所のシェパードに咬まれた経験があるからなのです。
そして今に至っているのです…
…『畜犬談』は、犬が苦手の人の方が面白く感じるような気がしてきました。
『きりぎりす』 太宰治/著
新潮文庫(1974)
(「燈籠」「姥捨」「黄金風景」「畜犬談」「おしゃれ童子」「皮膚と心」「鷗」
「善蔵を思う」「きりぎりす」「佐渡」「千代女」「風の便り」「水仙」「日の出前」)
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