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『紳士協定』(1947・米)

録画しておいた『紳士協定』(Gentleman's Agreement)を見ました。

<あらすじ>
「週刊スミス」の招きで、ニューヨークに移った人気ライターのフィル(グレゴリー・ペック)は、
編集長から「反ユダヤ主義」の記事を依頼されます。
記事の発案者は、編集長の姪のキャシーでした。

フィルは思いあぐねた末、ニューヨークに知人がいないことを利用し、
ユダヤ人のふりをすることに…

真実を知るのは編集長とキャシー、母と息子トミー、
それに、ユダヤ人の親友デイヴの5人だけ…

編集長から紹介された同僚たちは、フィルが「自分はユダヤ人」と仄めかすと、
平静を装いながらも動揺を隠せない…

妻に先立たれたフィルと離婚歴のあるキャシーは、間もなく恋仲になりますが、
キャシーは、口では「反ユダヤ主義」を否定しながらも、
ことあるごとに見せる差別的な言動から、二人の関係はこじれていく…

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監督はエリア・カザン…レッドパージのことはさておき、
『エデンの東』も『草原の輝き』も『欲望という名の電車』も素晴らしかったですが、
『紳士協定』も、とても考えさせられました。

ユダヤ人というだけで、不当な差別を体験するフィル、
差別に批判的であるはずのキャシーにしても、
「クリスチャンに生まれて良かった」と言い、いじめられたトミーに対しては、
「大丈夫、あなたはユダヤ人じゃないのだから…」と抱きしめ、
住む家が見つからないデイヴには、
「あの辺りは保守的な土地柄、差別されたらデイヴが可哀想…」
と自分の所有の空き家を貸そうとはしない…

差別は一部の差別論者によって起こるのではなく、
内心では憤りながらも、それが現実と、黙認している多くの「キャシーたち」が、
差別を増長しているのです。
私もその一人かも…

差別は人種や宗教だけじゃないしアメリカだけでも無い…
頭の中で「イマジン」が流れていました。

フィルのお母さんが、「世の中が変わるのを見たいから長生きしたい」
と言っていましたが、残念ながら60年以上経った今も、ほとんど変わっていません。

深刻な内容でしたが、フィルの母親、息子トミー、親友のデイヴに救われました。
キャシーも最後には気付いてくれたのでホッとしましたが、
ただ、この作品にロマンスは要らなかったのでは…

それにしても、1947年当時のニューヨークの街並みや行き交う人々の服装が、
あまりにも日本とかけ離れていたことに驚かされました。
(私が生まれる前ですが…念のため)

それに、当時は嫌煙という言葉が無かったらしく、
男女共、始終煙草を吸っているので、私までむせる思いでした。

グレゴリー・ペックは、『ローマの休日』の時より素敵でした。
特に、理知的で優し気な眼差しが…(*^.^*)

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