『ノンちゃん雲に乗る』
『ノンちゃん雲に乗る』
石井桃子/著
中川宗弥/画
福音館書店(1976)
『ノンちゃん雲に乗る』は1951年の作品で、
映画化(1955年、ノンちゃん役は鰐淵晴子さん)もされた名作です。
(本書は1976年発刊の福音館書店版です。)
作品の設定は、東京都が東京府だったころと古く、
主人公ノンちゃん(田代信子、8歳)は、いつも全甲(オール5)という優等生。
(お兄ちゃんや同級生が、太平洋戦争に出征したということは、
ノンちゃんがもしも実在していたなら、現在、90歳前後かしら…?
それとも、石井桃子さん(1907/3/10~2008/4/2)の世代なのかしら…?)
ノンちゃん、腕白なお兄ちゃん(タケシ)、
理想的な両親、典型的な祖父母と叔母さん、
絵に描いたような同級生の悪ガキ(長吉)…
ごく普通の人たちの、ごく普通の日常…
でも、再読してみて、考えさせられることも多かったです。
昔は気付かなかったのに…それだけ歳を取ったということでしょう。
例えば、
元気が有り余って、いつもお母さんを悩ましているお兄ちゃんも、
出掛ける時は、「行ってきま~す」ではなく、
「行ってまいりま~す」と挨拶してました。
昔は当たり前だったのに、
今では珍しくなってしまった言葉使いに、ハッとさせられましたが、
それ以上に感心させられたのは、子どもに接する際の大人たちの態度でした。
かつては存在していたであろう、健全な家庭での躾方、
とでも言えば良いのでしょうか…
(でも、「しつけ」というと、何となく、厳しく堅苦しい感じですが、
それ程大袈裟なものではなく、「接し方、育て方」なのです。)
子どもの目線を尊重し、決して頭ごなしで叱らず理解するように導く。
本書は児童書ではありますが、そういう意味でも、
大人のための教科書(ノンちゃんの時代なら修身)に思えました。
…特に「子育て中の人」に読んで欲しいような…。
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コメント
musettaさんへ
昔の本を読むと、言葉遣いの違いを感じます。
親子でも敬語や丁寧語を使っていて、言葉遣いで、性別も年格好も、
職業さえも分かりますよね。
古いと思われるかもしれませんが、昔の日本語の方が美しかったような気がします。
投稿: ミチ | 2011年7月 9日 (土) 23:03
ウチにも古い古い本がありました。
母の期待に添えない私は、優等生のノンちゃんが羨ましかった・・・
言葉遣いも美しかったですね。
投稿: musetta | 2011年7月 9日 (土) 20:57