『オコナー短編集』
『オコナー短編集』も読んだのは古く、37年も昔ですが、
初めから、フラナリー・オコナーを知っていたわけではありませんでした。
今もそうなのですが、女性が書いた作品に興味があったからなのです。
キャサリン・マンスフィールドが34歳の若さで病死したように、
オコナーもまた39歳で生涯を閉じた作家でした。
フラナリー・オコナー(1925/3/25 - 1964/8/3)はジョージア州サバンナ生まれ、
16歳の時、紅斑性狼瘡という難病で父を亡くし、
自らも25歳で父と同じ病を発症し、39歳で亡くなりましたが、
医師から一切の仕事を禁止されていたにも関わらず、
髪は抜け落ち、歯もボロボロになりながらも、小説を書き続けたそうです。
作品の舞台は、人種的偏見と差別に満ちたアメリカ南部ですが、
書かれていることは、ごく日常的な些細な出来事の中に起こる、
普遍的な潜在意識にも感じます。
偏見を偏見とは認識せず、当然のこととして無意識の内に正当化し、
差別はあくまで区別としか認識していない。
当然自分は間違っているなどと疑問さえ抱かない「分別ある」人たち…
これは、ほぼ半世紀前のアメリカ南部でのことではありません。
作品に登場する「常識的」な人たちの言動と意識は、
世界中の読者自身の姿でもあるのでしょう。
私も含めて…
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<目次>
川 (The River)
火のなかの輪 (A Circle in the Fire)
黒んぼの人形 (The Artificial Nigger)
善良な田舎者 (Good Country People)
高く昇って一点へ (Everything That Rises Must Converge)
啓示 (Revelation)
パーカーの背中 (Parker's Back)
解説
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