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『シークレット・ファミリー』

20110304
『シークレット・ファミリー』 柳 美里/著 講談社

柳 美里(ユウ ミリ)さんの本を初めて読みました。
予備知識が無いまま読んだ『シークレット・はファミリー』はノンフィクション…
それも、著者自身が受けた「児童虐待」のカウンセリングの記録でした。

どこの家庭にも、他人には言えない闇がありますが、
叱っても嘘を吐き続ける息子に手をあげてしまった著者…
柳さん自身も、両親から身体的、心理的虐待を受けただけでなく、
身近な大人から性的虐待を受け、級友や教師からは陰湿なイジメも体験。

それなのに、なぜ(…と、つい部外者は思ってしまうのですが…)
愛する我が子に対し、虐待を繰り返してしまうのでしょう…?

柳さんにしても、児童虐待の取材で知った女性にしても、畠山鈴香容疑者にしても、
世間を騒がせた人の多くが、虐待の加害者であり被害者でもあるようです。
彼女たちの親たちもまた、何らかの親からの被害者でもある…連鎖。

酒井法子さんやビリー・ホリデイの犯罪についても触れられていましたが、
自分の力だけではどうすることも出来ない運命のようなものを感じました。
(酒井法子さんの生い立ちを初めて知り、とても驚きました。)

ところで、柳さんは人見知りで、人付き合いや挨拶などが苦手だそうです。
私もそう…
でも、カウンセリングを行った臨床心理士・長谷川博一氏曰く、
「…地球上にいる人が全員、同程度に社交性豊かで、
人付き合いが上手じゃなきゃいけないの? 
人付き合いが下手、挨拶が苦手な人、いてもいいんじゃないの?」

…そんなことで自分を嫌いになってはいけない、と…

こんなこと、親とか学校の教師は絶対に言わない。
特に教師は…
「それじゃ駄目!性格を直すべき。出来ないのじゃなく努力が足りないのだ」
と言うでしょう。

「性格は人それぞれ、社交的な人がいれば、そうでない人もいる。
なぜ社交的が良くて、非社交的が悪いのか…?」
と内心では思っていても、口には出せません。

「そんなのは負け惜しみにすぎない。開き直りだ!」
と反論されるに決まってる…
私自身でさえ、心のどこかで、そう思ってるのだから…。

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