『口語訳 即興詩人』…(2)
本を読む時間が無くて、まだ途中までしか読んでいませんが…
19世紀の小説は一人称で書かれている、と何かで読んだ記憶がありますが、
『即興詩人』も主人公アントニオが語り部となり、
自分の辿った数奇な人生を語っていて、
イタリア各地の名所旧跡や、当時の風俗なども書かれていて興味深いです。
ただ、アントニオ自身に魅力を感じないのは何故でしょう…
(私はアントニオよりも、親友のベルナルドに魅力を感じます。)
ところで、アントニオがまだ幼かった頃の、「骸骨寺」の描写では、
以前、何かの番組(「世界ふしぎ発見」?)で見た骸骨寺の不気味さを、
思い出してしまいましたが、日本では考えられないような環境というか、
宗教観(死生観)の違いを感じました。
即興詩人の題名とは裏腹に、詩が意外に少なく、
また、その詩も私の心に響かない…
詩の翻訳は、文章の翻訳以上に難しいとは思いますが…
見事な訳と言えば、例えば、アルチュール・ランボーの
「汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる…」や、
(中原中也でした。御免なさい。m(_ _)m)
ヴェルレーヌの
「秋の日の ヴィオロンの ためいきの みにしみて ひたぶるに うら悲し…」
などは、何十年経っても忘れないほどです。
カール・ブッセの「山のあなたの空遠く 幸い住むと人のいう…」も
負けず劣らずの名訳ですが、この詩、何故か私は、
「よしやうらぶれて 異土のかたいとなるとても帰るところにあるまじや…」
と続いてしまって…
上田敏様、室生犀星様、どうかお許しください…m(_ _)m
閑話休題…
私の一番のお気に入りはドメニカさん…
この先、アントニオはドメニカと再会出来るのでしょうか…?
『口語訳 即興詩人』(安野光雅・著 山川出版社)
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