『在日』
半年くらい前から、
姜尚中(カンサンジュン)さんの『母(オモニ)』(集英社)を読みたいと思い、
図書館のHPを覗いているのですが、いつも150人くらいの予約があるのです。
(ちなみに13冊)
以前の私は「買って読む派」でしたが、物を減らしたい今は「借りて読む派」、
予約すればいつかは読めるのに、短気で出来ないのです。
政治学者の姜尚中さんですが、
2009年4月から「日曜美術館」に出演されています。
知的でダンディー、低音の美声が素敵ですが、
ボリュームを上げないと聞こえない…
でも、そこがまた寡黙な人らしくて魅力的なのですが。
それは兎も角、当分の間、『母(オモニ)』が借りられそうにないので、
代わり(?)に『在日』を借りてきました。
通名の永野鉄男から姜尚中になった時のエピソードは、
読む私も辛かったです。
今の若い世代の人たちは知らなくて当然ですが、
好むと好まざるにかかわらず「通名」を使わなければならないほど、
かつての在日コリアンは、日本人から差別と迫害を受けていたのです。
祖国と故郷が一致しないというアイデンティティを確立できない心理は、
当事者でなければ理解出来ないものだと思います。
「日本名だったのだから差別は無かった筈」と決め付け、
マイノリティーの意見を「反日だ」と言って誹謗中傷する一部の人たち。
あまりに短絡的で、幼稚さを曝しているようなもの、
同じ日本人として情けなくなります。
<目次>↓
プロローグ
第一章 朝鮮戦争のときに生まれて
養豚、どぶろく、そしてやさしき人々
父、母こうして在日一世になった
十万人の民族帰還運動
「底辺」に生きる人々の中で
「在日」として生きる作法
第二章 在日一世が生きた意味~二人のおじさんの人生
憲兵となった在日の「エリート」
失郷者として日陰で生きた「おじさん」
二重三重に引き裂かれたもの
第三章 「尚中(サンジュン)」が「鉄男(てつお)」を捨てた夏
小市民化と在日の深い闇
韓国の地に立って
「韓国的カテゴリー」の中で
疾風怒濤の時代を駆け抜けて
北の楽園、南の独裁
「在日」の不安と吃音とメランコリー
第四章 ドイツ留学~故郷と異郷
逃避行からはじまった留学生活
モスクワの「憂鬱」
イラン革命と社会主義の終焉
朴大統領暗殺、そして光洲事件
故郷と異郷の狭間で
第五章 父の死と天皇の死と
平穏な結婚生活からデビュー作出版へ
「ジャパンアズナンバーワン」のもとで
指紋押捺拒否が生んだ出会い
「おじさん」と父との別れとと旅立ち
一世たちの歴史を刻みつけよ
第六章 社会的発言者へ
湾岸戦争と戦後ナショナリズム
巨大メディアと大学の狭間で
日本国民の在日化
インサイダーとして、アウトサイダーとして
第七章 新たな疾風怒濤の時代
夢の南北首脳会談と友の死
「太陽政策」と回避された危機
北朝鮮がはじめた危険なゲーム
終わりなきイラク戦争とその影響
第八章 東北アジアにともに生きる
コリアン・ネットワークを今こそ生かせ
六者協議と拉致問題の行方
百年目の夢として、日朝関係正常化を願う
プロジェクトとしての東北アジア
エピローグ
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