『姜尚中の青春読書ノート』
『姜尚中の青春読書ノート』は、
カルチャーセンターでの連続講義を基に加筆された本なので、
とても読みやすかったです。
ですが、読書ノートと言っても、
いわゆる読書のためのガイド本ではありません。
カンサンジュンさんの若き日の軌跡が、愛読書と共に綴られていましたが、
在日コリアン二世としての苦悩や葛藤が伝わりました。
同世代の私も、それなりに悩み苦しみましたが、
著者に比べてあまりに暢気だった自分が恥ずかしくなりました。
モーム、漱石、芥川、太宰、百三、安吾などは私も読みましたが、
『悪の華』は読みませんでした。
「タイトルに惹かれて」と言うカンサンジュンさんですが、
私は逆に避けてしまった…ランボーや中也には惹かれましたが…。
<目次>↓
目次
はじめに
第一章 TOKYOがなんだ!
~夏目漱石『三四郎』~
竜田山と三四郎池/「東京は太かねえー」/驚きの東京
三つの世界のきしみの中で/「烈しく揺きつつある」せかい
「TOKYO」が何だ!/パトリへの愛(パトリオティズム)
東京は「亡びるね」?
第二章 光栄ある後衛になる
~ボードレール『悪の華』~
魔の季節 十七歳/「死」を垣間見る瞬間/蠱惑的なタイトルに惹かれて
デカダンスの中で求めた人間の真実/近代と格闘したボードレール
学校で習うのとは違う世界/倦怠は人間を破戒する/心の闇と破戒願望
見知らぬ世界へ誘われて/「在日」と出会う
日本はなんていい社会なんだろう/韓国大使館の前にデモをかける
なぜこんなにミゼラブルなのか/光栄ある後衛
もし前衛にいたら今のわたしはない/青春を確認するバロメーターとして
第三章 歴史は後戻りしない
~T・K生『韓国からの通信』~
命がけの記録/日本とアジアが動いた1970年代
コリアン・エンドゲームの始まり/金大中氏の太陽政策
北朝鮮に批判的だった韓国民主化勢力/「われわれは反共なのだ」
「右翼小児病」と呼ばれて/三十年刻みで歴史は進む
初めて韓国へ行った夏/巨大なスラムのかたまりだったソウル
「ここはファッショの国だ」/南北共同声明をめぐって/決断に賭けるとき
永久革命としての民主化/ソウルの変貌
第四章 すれっからしはブレない
~丸山真男『日本の思想』~
唯一の「入門書」/『日本の思想』の書かれた時代/自分のスタンスを持つ
自分はどの座標にいるのか/大学では非主流だった政治思想史
後光を放つ丸山真男と「教祖」吉本隆明
イラク戦争d思い知った思想史のすごさ/歴史に逆襲される
知的すれっからしだった丸山真男/葛藤の末に/思想的雑居を超えて
奇妙な全体主義/『日本の思想』は今も新しい/イメージに頼らない
第五章 資本主義はどこへゆく
~マックス・ウェイバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の倫理』~
もみの木の木陰にたたずむ墓/「意味」へのこだわり/「意味への意思」
「意味問題」をシャットアウトする/資本主義の精神と起源
ウェーバーの悲観的な予見/苦悩する知識人/金融資本主義の時代
資本主義はどこへ行く?/実物経済でいこう/人々の生き方が変わる
あとがき
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