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木曽路の旅…(2)

夜、灯りを消し布団に入って取り留めのない話をしていると、
「お隣さん…」の声が…

襖の向こうに誰かが居た事を知らなかった私たちはビックリ仰天。
襖越しにどんな会話を交わしたか覚えていませんが、
その人が、子ども達に“童話や民話の読み聞かせをしている”
ということだけは覚えています。
(当時、Kさんは保母、Kさんの妹は幼稚園教諭だった。)

その夜は襖越しに言葉を交わし、
翌朝も顔を合わせることはありませんでした。

翌日は、木曽川の分水嶺、鳥居峠越え…
野鳥や小動物だけの足跡の雪道、
輪かんじきの無い足に、腿までのラッセルはきつかったかれど、
幻想的な世界に浸っていました。

妻後、馬籠、木曽福島、上松、開田村…
木曽路へは何度も訪れましたが、あの時の薮原の旅籠は忘れられません。

あれから長い時間が過ぎ去りましたが、
薮原宿の旅籠「こめや」さんは、きっと今も続いていることでしょう。

でも、友と思い出を分かち合うことは出来ません。
17年前、一人で先に旅立ってしまったから…。

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<塗櫛と本つげのお六櫛>木曽ぬりもの「宮川漆器店」
箱の裏には、1974、1、3 の日付が。

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