『閉ざされた庭』
『閉ざされた庭』は『蕁麻の家』に続く萩原葉子さんの自伝的小説です。
8年間の悲惨な結婚生活が描かれていましたが、
前作と同様、殆ど一気に読んでしまいました。
父・内藤洋之介の死によって居場所を無くした嫩(ふたば)は、
追い出されるような形で、愛のない結婚を決める。
真面目だけが取り柄と思い結婚した古賀和夫の正体は、
劣等感の塊のような気の小さい最低な男…
私なら一週間も耐えられないタイプの夫なのに、
罵られ暴力を振られ、心身共にズタズタにされながらも、
一人息子の千夏のためと、八年間も耐えた嫩(ふたば)…
ふたばは無意識のうちに、亡き父内藤洋之介(萩原朔太郎)と比較していて、
夫はそれを見抜いていたのでした。
千夏のモデルは、一人息子の萩原朔美さんで、
古賀和夫のモデルは、当然朔美さんの父親ですが、
悲惨な結婚生活を表現するためには避けては通れない事柄だとしても、
「…どうか創作であって欲しい。
たとえ創作だとしても、こんなことまで書く必要があるのかしら?」
と、嫌悪感すら覚え、最後は逆に、最悪夫に同情してしまいました。
私は『蕁麻の家』の嫩(ふたば)の方が好感が持てました…。
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コメント
本当にそうですよね。
はじめは「ふたば」に同情しましたが、次第に、どちらが加害者か分からなくなって…
しかも一方的に本にし印税を得るのですから、復讐にしても酷過ぎるのでは?と思いました。
投稿: Michi | 2010年12月16日 (木) 21:22
ペンは剣よりも強しですね。
おとなしい加害者ともいうべき仕業。
暴力を振るわれるなんて、不幸としか言えませんし、仕返しをしたくなる気持ちもわかりますが、彼をそうさせたのは彼女なのかも。と読者に思わせてしまいますね。
投稿: kiyohime | 2010年12月16日 (木) 14:32