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『ワサビと唐辛子』

20101113 愛蔵版『ワサビと唐辛子』
~受け身の日本人、攻めの韓国人 その強さと弱さ~
呉 善花(お・そんふぁ)/著
祥伝社

「唐辛子は神経に刺激を与え血液の循環を良くし、
精神的に興奮しやすい作用を生み出すが、
ワサビは鎮静作用があり、精神に落ち着きをもたらす」そうです。

韓国人にとって唐辛子は、切っても切れない食品かも知れませんが、
ワサビは、和食には欠かせない食品には違いなくても、
毎日食卓に上がる訳ではないし、嫌いな人もいます。
それにワサビ自体、日本だけのものでもないのですから。

でも、韓国出身の著者が、日本人をワサビに、韓国人を唐辛子にたとえて、
日韓の文化の違いを考察されていたことには興味深かったです。

現在、日中関係は緊迫していますが、日韓についてはどうなのでしょうか?

日本人には理解出来ないまでの中国・韓国人の反日感情は、
愛国という名の反日教育の結果で、一種の被害妄想、
また異常に面子に拘るのは劣等感の裏返し、では?と思っていましたが、
それだけではなさそうです。

よく言われる「歴史観の違い」にしても、
日中韓の「歴史教育の違いからくるもの」位に思っていましたが、
「歴史観の違い」は、民族や祖先に対しての思考の違いのようなのです。

「過去は水に流す」「過ぎたことに拘るな」や、
「死ねば仏になる」「死者に鞭打つな」という考え方が日本にはあり、
中韓から繰り返される抗議行動に、多くの日本人は、
「それはもう過去のこと、何度も謝罪もしたし賠償も済んでいるはずだ。
日本には戦争を放棄する憲法だってある。
戦前のことは、昔の一部の軍国主義が起こしたことであり、
日本国民も被害者なのだ」と考える…

それに対して、儒教の国の中国と韓国の人たちは、
「過去の罪を忘れている。子孫が負うべき先祖の罪から逃れようとしている」
反省していないということは過去の過ちを繰り返す可能性があることだ」
と感じるようなのです。

なにしろ日本とは違って韓国では、毎年親族が集まり、
四代前の祖先の祭祀を行っているそうですから…。

<目次>↓

<目次>

《愛蔵版のためのまえがき》
 「反省好きな日本人」と「受け身志向」の関係
     「日本人は反省できない民族」という韓国人の思い込み
     日本人ほど反省好きな人たちはいない
     日本人は“欠如ある存在”を愛する
     日本人の他者意識の根本には「自然」がある

《新刊書のためのまえがき》
  ワサビと唐辛子の「辛さ」の違い

プロローグ「イギョラ(勝て)」と「負けるな」
  …対立を避けようとする日本人

     「イギョラ(勝て)」と「負けるな」の違い
     「女房に逃げられた」…受け身形の多用は、対立回避の知恵
     運命に対する諦めを感じさせる言葉
     自分の力より、「みなさまのお陰」
     日本人の「お陰」信仰と「縁」信仰

第1章 原理原則を持たない日本人
    …自然信仰と日本人の理念

 (1) 日本に“絶対”はない
     「AさんとBさんではどちらが美人?」への答え
     すべてが“相対化”される日本社会
     日本が「理念不在」と批判を受けるわけ
     「平和主義国家・日本」を、なぜもっと誇らないのか?
     唯一、日本にだけ可能な国際貢献
     深夜、隠れて聴いた北朝鮮のラジオ放送
     「閉じこめられた国家」の不幸をどう解決するか

 (2) 韓国から見た「日本文化」の風景
     韓民が日本の文化を受け入れにくい理由
     「警戒すべき国」一位、日本
     日本が「キムチ宗主国」を狙う?
     日本文化は「いいとこを採る文化」か
     なぜ、日本文化が高度に洗練されたのか?

 (3) 日本と韓国の「あの世」は、これだけ違う
     八海山神社の火渡大祭」体験
     「ごちゃ混ぜ雑種文化」の最たるもの…修験道
     「あの世」を楽観視する日本人
     日本人の「あの世」は身近なところにある
     自殺に対して寛容な文化
     韓国における儒教と巫俗(シャーマニズム)の関係
     誰でも死ぬと浄化され、「神」になるという思想
     日本人はまるで神のように生きる?
     戒律なき日本仏教の不思議
     「祟り」を口にするビジネスマン

第2章 謎に満ちた“日本美”の秘密
      …日本人は“見立て”の天才

 (1) 様式の美が個性を生かす
     「家元」がいて、どうして個性を生かせるのか
     様式とは、日本人の自然観を凝縮した“かたち”
     「花」でなく、「蕾」を愛でる感性
     遊び心を食器に反映させた日本人
     「ひなびた美」は、生命プロセスの表現

 (2) 異文化の眼で、あらためて日本を見る
     「縮み志向」という観点への疑問
     「日本は狭い」という幻想
     “見立て”文化とは何か?
     「間合い」と「わび・さび」のむずかしさ
      韓国には「旅館で楽しむ文化」はない
     「自然を洗い出す」日本の美

 (3) 「もののあわれ」と「恨(ハン)」
     人間の弱さを肯定する「もののあわれ」
     「恨」と言う情緒と、復讐の構造
     「怨(オン)には怨を」「怨みには慈愛を」
     韓国人になることを選んだ木浦(モクポ)の日本人オモニ(お母さん)
     「為せば成る」と「成るようになる」

第3章 「和の国・日本」の素顔に迫る
     …なぜ、日本では“人並み平等”が理想とされるのか

 (1) 日本という国の「懐」…滞日韓国人と外国人労働者
     韓国人ホステスの“血を吸う”韓国人…ミニ・コリア・タウン事情
     日本で働く「韓国人労働者」の特質
     世界でもっとも豊かな少数民族…在日韓国人・朝鮮人
     なぜ、日本は世界一治安がいいのか
     「階層分化」が生んだ危険な社会…ロスでの恐怖体験

 (2) 一億総中間層の社会…日本の強さの秘密
     対極旗と日の丸…「対立調和」と「融合の和」の違い
     「大成功」より「平均的な生活」を求める社会
     韓国人は「商売」が嫌い
     日本は、アメリカの失敗の轍を踏むべきでない
     不況でも、正月の温泉地は賑わう
     日本庶民の不況対策…「使えない」のでなく「使わない」だけ

 (3) 世界的に特異な「平等共同体」としての日本
     日本に階級は存在しない
     日本は分配平等社会の代表
     「ムダ」こそ、社会の肥やし
     社会のムダは、平等確保のための費用である
     日本では、「上流」になると居心地が悪い
     象徴天皇制が生んだ、権力の分配性
     「天皇制的総受け身」と「共同体的相互受け身」

終章 「受け身文か」の日本人
   …“自然”の力に対する崇敬の念が、日本をつくった

     散るときには、いさぎよく散る……
     文武の歴史と伝統
     今なお有効な、福沢諭吉の「文明論の概略」
     脱・儒教を成功させた日本に学ぶべきこと
     「皇」と「武」とのバランス関係
     すべてを水に流す歴史観

あとがき
[発出一覧]

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