『お化粧しないは不良のはじまり』
幕末から現在に至るまでの化粧観と化粧法を、
写真や広告を掲載しながら考察する興味深い一冊。
ペルー来航…
西洋人が初めて見た日本人(既婚女性)は世界一醜かった…
お歯黒と母親の証しの剃り眉した顔はグロテスクで不気味、
日本人は野蛮人…結果「不平等条約」を結ばれてしまった…
明治3年、政府は、お歯黒剃り眉禁止令を発令。
老けて見える剃り眉は廃れたのに対し、お歯黒は続けられ、
「歯が白くて鬼婆みたいで気味が悪かった…」(昭和9)、
「黒い総入れ歯が作られた」(昭和10)という記録もあるそうです。
最後にお歯黒した人を確認したのは、昭和52年(1977)というから驚きです。
キリスト教圏では、「神が造りし人間、化粧してはならない」
という考えから、化粧は悪徳とされ、限られた職業の女性のみだったけれども、
男尊女卑の日本では、外見の美しさと従順が女性の美徳でした。
戦前に流行したモガについては、
最初にモガの格好をしたのは、洋行帰りの上流階級の女性や、
婦人参政権論者や芸術家といった女性解放思想を持ち、
世間の中傷など意に介さない新しいタイプの女性たちだったようです。
その人たちに影響を受けたのは、マネキンガールやバスガールといった職業の、
男性に頼らないで生きていた女性たちでしたが、
当時は「モガ=ふしだら」、モガは不良娘の代名詞だったようです。
また、モガ独特の化粧法は、リリアン・ギッシュなど、
当時のハリウッド女優を真似ていたとのこと。
ところで、『お化粧しないは不良のはじまり』というタイトルですが、
明治時代、山脇学園初代校長が、
「当今の女学生は、白くもない顔に白粉も付けずケシカラン!」
とコメントしたことに由来してます。
外見の美が女性の値打ちだった男尊女卑の当時、
「玉の輿」と目指す女学生にとっても化粧は重要な身だしなみだったのです。
その箇所を読んだ時、以前、あるTV番組で、
「美しくない女は美容整形するべきだ!」と発言し、周りから顰蹙を買っていた
韓国人男性の勝ち誇った表情を思い出してしまいました。
しかも、みんなから非難されても、
なぜ非難されているのかさえ、理解出来ないようでした。
…ですが、そう思っているのはこの男性だけではなく、
“女は美しくなくては…”、それが多くの男性の本音なのでしょう…
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コメント
韓国が美容整形大国なのは、外見の美が就職にも結婚にも影響するからみたいです。
つまり、美人でないと幸せになれないから…幸せの定義も日本とは違うようで…
お化粧は良くて整形は駄目というのも矛盾しているというか…
以前「きれいなお姉さんは好きですか?」というCMがありましたが、
誰だって汚いより綺麗が良いに決まってますよね。女性だけでなく男性も。
でも大事なのは、その人が「どう考え、どう行動するか」じゃないのかしら?
投稿: Michi | 2010年11月11日 (木) 00:21
韓国人男性の勝ち誇った笑顔。だからみんな整形するのね。国民性と整形人口の多さは関係あるのか。なるほどですね。
けど、非常に短絡的に思えるし、倫理観を疑うのは、日本人の慎重さや、ワビサビ精神のせいなのでしょうか。微妙な変化で美しく見えたり、醜く見えたり。日本人の美の基準はとてもデリケートですよね。
投稿: kiyohime | 2010年11月10日 (水) 21:50