『スカートの風(チマパラム)』
『スカートの風(チマパラム)』
~日本永住をめざす韓国の女たち~
呉 善花(オ・ソンファ)/著
三交社
1990年に出版されベストセラーとなった『スカートの風』は、
呉善花さんの最初の著書ですが、韓国で日本語を習ったとはいえ、
1983年に来日当時は殆ど通じず、
日本語学校に通った人とは思えない程の語学力に、
感心せしずにはいられませんでした。
でも、どんな大作家にも編集者は存在するのですから、
それ程驚くことでもないのでしょう…
それは兎も角、
この本には、それまで誰も書かなかった日本で働く韓国人ホステスや、
韓国人留学生の裏側が明かされていました。
例えば、ブローカーへの高額な報酬と引き替えに、
高校卒業証明書や成績証明書の偽造、年齢を詐称したパスポートの偽造や、
日本人男性と偽装結婚の諸々の処理される。
(相手の在職証明書や納税証明書の偽造なども…)…信じられない。
韓国人が目指すもの、それは「権力とお金」。
女性に求められるのは若さと外面的な美だけ、
妻は跡取り(息子)を産む道具に過ぎない、
という、あまりに哀しい韓国の女性たち…
そのため、婚期(25歳前後)過ぎたり、離婚した女性には居場所はなく、
「兄弟の学費のため、両親を養うため」に日本に出稼ぎに来るそうです。
ですが、20年以上も前に書かれたものなので、
現代もそうなのかは定かではありません。
<目次>↓
<目次>
プロローグ [心の国境の間へ]
だれも韓国のほんとうの姿を語っていない
韓国人ふたつの夢……お金と権力
田舎娘から陸軍士官の恋人への道
日本への旅立ちと最初の挫折
冷たい日本人と夢をなくした私の絶望
生死の分かれ道に浮かび上がった日本人の笑い顔
夢がなくとも笑える自分の発見
残せるものが何もない人生の失敗者
韓国人ホステスのなかに見た自分自身の姿
第1章 日本で働く韓国人ホステス
なぜ日本に永住したいと願うのか?
女としての自分をより高く走るために
ママとホステスの権力バランス
自己防衛のためつくられるグレープ
きまりを破ったホステスは店からはじかれる
ママも手を焼くホステスの嫉妬とプライド
女は美人でなくてはならない
中年のいなか者が韓国人ホステスにもてる理由
韓国版「ジャパゆきさん」の渡航史
暗躍するブローカーの実態
この女たちは韓国では暮らしていけない?
結婚ビザから入籍まで
最も確実に日本に永住できる方法とは?
最大の権力機関としての入国管理局
不法就労摘発の現場から
女たちの運命を左右する入管のサジかげん
留学生からホステスへの必落街道
ホステスという職業への卑と尊の二面性
日本は勉強する場ではない?
愛人を手に入れた女子留学生
正妻に「家」を愛人に「女」を求める男たち
子供を生みたがるホステスたち
売春婦ではない女の売春行為
女が流出する国
第2章 現代に韓国の女性事情
誰も語らない生と性のドラマ
「離婚したら日本へ行け」
実家には帰れない女たち
韓国でロング・ヒットを続ける女の「哀歌」
親友同士で日本に渡った二人の女
無垢な少女の工員からホステス・売春婦への道
常軌を逸した処女重視の社会
ブティックで売り子をする売春予備軍
少女たちをママさんハウスに引き入れるテクニック
ママさんハウスで成功した女
喫茶店での過剰なセクシー・サービス
日本人相手の観光キーセン
観光キーセンを愛人に持つ日本の男
女を抱かないと韓国ではビジネスにならない
韓国を批判しない韓国のジャーナリズム
旅行嫌いの韓国人
韓国と日本の男女観の違い
親友ヨンスギの行方を追って
チョンノサムガでの再会
観光ガイドの副収入
見せつけられた親友ヨンスギの手腕
再びヨンスギが輝くとき
第3章 ヤンバンとキーセンの哀歌
現代を支配する李氏朝鮮の亡霊
519年間続いた李氏朝鮮の支配
古代以来の全羅道・慶尚道の対立
キーセンは庶民には高値の花だった
人気歌手と結婚した現代ヤンバンの長男
卑しまれ続ける芸能人たち
ヤンバンらしい男こそ夫にふさわしい
成り金を目指す人生観の肯定
会社で何もすることのない社長
韓国の企業と日本の企業の埋めがたい溝
貯金より目先の借金
銀行より「ケー」を信用する理由
奇蹟好きとキリスト教
韓国の童話「シムチォン伝」
韓国伝承説話の相似と違い
一家の徒食者という女の価値
押しつけられる結婚と息子の出産
家族の情愛と目に見える愛の形
教育ママのすさまじき欲望
男への復讐を開始した女たち
新しい時代のチマパラム
第4章 韓国人と日本人
知り合おうとしない隣人たち
理解しがたい日本人の「あいまいさ」
人の話を聞いたら負け
一人一人に力がないことを教える日本の学校
韓国人には見られない日本人の反省思考
トウガラシの韓国とワサビの日本
日本語は受け身の言語である
なぜ日本人は「~させて下さい」と言うのか
二つの言葉の用法を使い分ける日本人
日本人の文章力
敬語という日本語の壁
韓国語を習う日本のビジネスマンたち
韓国人ホステスの日本語の学び方
ビビンパとまぜごはん
せっかちの歴史
最大の難関…いけばなの美
日本語は人格を変える?
ハングルという文字の限界
反日世代と団塊世代との新韓日ビジネス
あとがき
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コメント
国民性はそれ程変わっていないかもしれませんが、
留学生や出稼ぎに来ている人たちの状況は当然違うと思いますよ。
投稿: Michi | 2010年11月16日 (火) 21:34
20年位で国民性なんて変わらないでしょうね。韓国の受験競争はまさに地獄と聞きます。その上美貌もでしょ?価値観が凝り固まってますよ。多様な価値観を受け入れる器の大きさはない。大人の国になるにはまだまだ遠いですね。
早速LaLA TV申し込み。早速オースティン作品やってて、ホクホクでした。
私も、前はオースティン苦手だったんですよ。オースティン好きの友人に「良さがわからない」と散々悪態ついてました。ですから、この何年間か前からの嵌りぶりは彼女には言えない。
投稿: kiyohime | 2010年11月16日 (火) 12:47