『新・スカートの風(チマパラム)』
『新 スカートの風(チマパラム)』
~日韓=合わせ鏡の世界~
呉 善花(お・そんふぁ)/著
三交社
『スカートの風』(1990)、『続 スカートの風』(1991)、
そしてこの『新 スカートの風』が出版されたのが1992年ですが、
“1992年4月は豊臣秀吉による壬辰倭乱から400周年にあたる”
という文に、改めて日韓の歴史観の違いを知らされました。
この本によれば、日本人が抱く韓国人のイメージでは、
「とにかく激しくすぐに熱くなる」、「ワンパターン」、「金遣いが荒く成金趣味」
「見栄っ張りで自己顕示欲が強い」、「上昇志向が強い」、「自己主張が強い」、
「権力志向が強く権威主義的」、「すぐに上下の差を付けたがる」
「衝突ばかりしていて集団活動がスムースにいかない」
…というのがマイナスイメージ。
「家族、身内を大切にする」、「義理堅い」、「本気な性格」、「行動的」、
「情熱的」、「誇り高い」、「素朴で純粋」、「喜怒哀楽を素直に表現する」、
「素直ではっきりものを言う」
…がプラスイメージだとか。
そう言われてみればそうかも知れません。
韓国式もてなしは、普段味わえない目が眩むような
「派手、豪華、華やか」な皇帝待遇ですが、日本人には受けないそうです。
「日本人は素朴で鄙びたものが好みで贅沢が嫌い」と著者は言いますが、
価値観が人それぞれのように、贅沢への定義も人それぞれ、
絢爛豪華が好みの人もいます。
様々の例を挙げて日韓の比較をしていましたが、
日本人」と言っても人それぞれではないのでしょうか。
ところで、「美人に会いたければソウルへ」を読んでいて、
美人だばかりのソウルで、
“その中の何割が天然の美人なのかしら…?”と思ってしまいました。
<目次>↓
序 合わせ鏡の関係としての日韓
<目次>
Ⅰ 大いなる小異をめぐって
日韓摩擦の根源には何があるのか
ロス暴動と日韓摩擦の固有性
「身内問題」となっている従軍慰安婦問題
韓国側のこれまでみられなかった反応
相互に支え合う仕組みに根を下ろす日韓摩擦
問題の根にある「いき違い」
「カバンをあけなさい」という韓国税関
驚きと「気持ち悪さ」の感覚
日本人の中位意識と韓国人の黒白主義
「助けてもらいたい」ではなく「助けるべき」という発想
なぜ個人的な関係ではうまくゆくのか
ともにアジア的自己をみつめるとき
なにげない日韓から
「スカートの風」の反響
母国語独特の表現の面白さと落とし穴
顔つきの価値観
権威と名刺の関係
贅沢生活が嫌いな日本人の不思議
韓国薬剤師の弁舌
日本の3Kと韓国の3D
ロス暴動後の韓国人の反省
ロスのコリアタウン
Ⅱ 文化の合わせ鏡
韓国人は「間」をとることが苦手
「あいだをとる」ことの難しさ
野球には「まをとる」技術が大切
韓国人が中間が嫌いな理由
韓国の味と日本の味
韓国人はキムチなしでは生きられない?
洗練された味よりも家庭の温かみを求める韓国
量も豊富なら味も豊富なものがよい
オンドルとコタツ
コタツ、日本茶、庭の三点セット
夜間暖房としてのオンドル効果
部屋飾りとしての布団といけ花
弱さの日本語、強さの韓国語
覚えやすく上達しにくい日本語と韓国語の間がら
「コーヒーを飲まされた」と言う日本語の印象
日本語特有の「~させられた」「~してもらう」
韓国的なサービスとは何か
感覚に直接うったえる韓国の伝統的なサービス
派手やかさと賑やかさに終始した宴会
相手しだいで差をつけるサービス
ハレの場の象徴としてのネクタイ
ソウルビジネス街の色鮮やかなネクタイ
日本では着られない韓国で似合う服
仕事の場はハレの場か?
ロスの日本人教会・韓国人教会
平日はオフィス、日曜日は教会
小さな日本人教会でのお説教
「許しても忘れてはいけない」という韓国人牧師
プライド=高慢・自尊心をめぐって
逆境にあってこそ身仕舞をただす
他者に助けられる資格
異文化間のプライド表現
Ⅲ 韓国の女、韓国の社会
なぜ韓国女性は美人なのか
美人への過激な執念
韓国美人は美人であることを強調する
「派手さ」という美
セクシーな美についての日韓の違い
目を強調する美の感性
美人に会いたければソウルへ
美人への執念から貴婦人への執念へ
女と男雑考
日本に来て変わった男性観
日本の男が韓国の女を誘うとき
韓国、その中央集権化の力学
韓国人は「体育会、応援部」的?
急速に消費社会の顔を見せはじめた韓国
過剰消費の官僚にある虚栄心と自己顕示欲
同一性内部で進行する韓国政界の多様化
ハンダーソンの「韓国社会=上昇渦巻パターン説」
韓国社会の極度な中央集権化の構造
日韓関係が鍵を握っている
Ⅳ 儒教的世界と神道的世界
韓国の孝と日本の忠
儒教の倫理観を逆転させた日本人
自然な生まれつきに価値を求める社会
孝優先の韓国と忠優先の日本
忠優先で成功した日本
「恨」と「もののあわれ」
情緒表現と美意識の二つの典型
自然観と人生観
儒教と神道を支える心情
日本人の「おかげ」信仰
「反省する日本人」というアジア人のワンパターン
「努力」の強調と「おかげ」の強調
負けたくない相手のご都合主義
外国人のための日本人とのつき合い方
考えさせて下さい
家に遊びに来て下さい
「ひけらかし」が嫌いな日本人
教える姿勢の弱い日本人
日本人は無宗教?
日本人は差別的な国民か?
馴れ馴れしさと親しさ
東京の無意識と外国人
あとがき
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