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『中国人の愛国心』

20101013 『中国人の愛国心 』
~日本人とは違う5つの思考回路 ~
王 敏(ワン・ミン)/著
PHP新書(PHP研究所)

尖閣諸島のことがあったからという訳でもないのですが、
中国人の愛国心が如何なるものかが知りたくて借りて来ましたが、
古典を持ち出して「反日デモ」についての苦しい弁明に終始していて、
すべて詭弁としか思えず、正直のところ、納得は出来ませんでした。

『中国人の愛国心』は2005年に出版されたものですが、
『ほんとうは日本に憧れる中国人』と同じく、
自国にとって都合の悪いことには、一切触れられていません。

『ほんとうは日本に憧れる中国人』もそうでしたが、
どうして、王敏さんの本を読むとモヤモヤするのでしょうか?

きっと、彼女が中国の教育を受けた中国人で、
私が日本の教育しか知らない日本人だからでしょう。
日本で長く暮らすインテリだからと期待した私がバカでした。

例えば、中国人にとっての愛国のパターンとして12の例が挙げられていましたが、
首を傾げたくなるようなものばかりなんです。
中でも、
「時の政権を批判し、建設的な意見を出すこと」、
「外国との和平のために、みずからを犠牲にすること」、
この二つ、信じることは難しいです。

「世界のリーダーだった唐王朝をはじめ…」(中国が世界の中心?)
「中国人のこだわりは、民族より文化…」(その文化自体が曲者)
「戦後中国人は敵国の残留孤児を育ててやった…」
(中国人と言っても、旧満州の人たちでしょ。
それに日本人と知れると相当な迫害を受けたとも聞きましたが…)

外国の文化の素晴らしさを知ることにより、
中国人としてのアイデンティティが壊されるのではという危惧が生じ、
その葛藤から反日や反米のデモが起こる…だそうです。

村上春樹を読めば、
「中国を侵略した日本人は、中国人を虐殺し中国文化を踏みにじった」
という憤りが湧くらしい…何とちっぽけな民族意識…

いつだったか、中国で起こった「日本製品不買の反日デモ」の映像では、
暴徒化した中国人男性が、ソニーのビデオを持っていましたが、
幼稚過ぎて笑えました。

900年も恨まれ続ける秦檜の像へは、唾が吐きかけられ、棒で叩かれ、
秦檜の子孫は今も差別されているそうです。
なんと執念深いことでしょう。

「反日行動を起こすことが、愛国を表す手段、だから、大袈裟に受け取らないで…」
いくら中国人の思考回路はこうなのだ、理解するように、と言われても、
身勝手な理屈で矛盾だらけで、世界では通用しないことを理解すべきでしょう。
日本人の多くは「間違った愛国教育の結果」としか思っていないと思います。

「中国は侵略を許さない国」だそうですが、そっくりそのままお返しします。
1965年生まれで1982年来日し、法政大学教授の王敏さんなら、
尖閣諸島が日本のものと理解しているでしょう。

…が、「国外で永住している華僑でも、中国文化を否定すれば、
裏切り者、売国奴のレッテルを貼られる」そうですから、
インテリで、たとえ長く日本で暮らし、日本で活動していようとも、
中華人民共和国の国籍がある限り、言論の自由は無いということなのでしょう。

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