『醜い中国人』
『醜い中国人』~なぜ、アメリカ人・日本人に学ばないのか~
柏 楊(ポー・ヤン)/著
張 良沢・宗像 隆幸/共訳
カッパ・ブックス([新書)
『醜い中国人』(醜陋的中國人)は、
1985年(日本では1988年)に刊行されたものなので、
現在とは状況が違いますが、それでも大変興味深い本でした。
(矛盾や疑問も、無きにも非ずでしたが…)
著者が、心を鬼にして、敢えて同じ民族の醜い姿を暴露したことは、
中国を愛するが故、と伝わりました。
ただ、副題と目次にある「日本人」ですが、
これ、日本での刊行に際し加えたように思えましたが…?
なぜなら、日本を褒める記述は極々僅かで、比較対象は専らアメリカですから。
日中戦争を知る著者(1920~2008)にとっては当然でしょうが…
例えば、
“笑顔で礼儀正しい接客態度や、
必要以上に「すみません」「ありがとう」というアメリカ人(「三つのことば」)”や、
“中国人には信じられないほどマナーを守るアメリカ人(「行列の国」)”などは、
“これ、日本のことでは?”と思ってしまいました。
兎に角、中国人が、ここまで最悪な民族とは知りませんでしたが、
残虐な暴君たちから逃れることが出来た祖先の末裔である訳ですし、
特有の身勝手な言動も、少しだけ理解出来るようになったから不思議です。
“なんて可哀想な民族なんだろう…”と、同情さえして。
(但し、支配階級は別…)
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<抜粋>
「中国人を裏切るのは、外国人ではなく中国人だ」
「中国人は世界でもっともうぬぼれやすい民族である。
中国人の器はあまりにも小さすぎるので、すぐ溢れてしまうのだ。
見識があまりのも低く、狭量なので、ちょっと実績を挙げて、それが認められないと、
世間の方が悪いと思ってしまう」
「中国人は善良な人を馬鹿にする。
自分の利益にならないことを考えたり、やったりすると、みんなに馬鹿と笑われる。
心の温かい人、他人を許す人、他人を賞賛する人は、みんな馬鹿と笑われる。
人に殴られて、叶いもしないのに敢えて抵抗したり、
人の不法を見て、自分の利益にならないのに法に訴えたりすると、馬鹿と笑われる」
「この年老いた私(著者)が思うに、
面子とは、おそらく神経衰弱と、一種の頑固な利己心の産物であろう。
神経衰弱のために、泥棒のように落ち着かない。
そして傲慢に振舞うことによって、自分の下劣なやり方を誤魔化そうとする。
ただ、頑固な利己心から、『自分だけは例外』を要求するのだ」
「我々中国人は、キリストを殺した人たちと同じように、
自分自身がしていることの醜さを知らないのだ」
<目次>↓
<目次>
はじめに……訳者として 宗像 隆幸(むなかた・たかゆき 評論家)
序にかえて…≪漬物甕(つけものがめ)≫国の医者と患者
1章 中国人の欠点
私は要注意人物です
六十五年間の辛い歳月
中国人としての恥ずかしさ
中国文化の中の病気のウイルス
欠点①…汚なさ、無秩序、騒々しさ
欠点②…派閥闘争と内ゲバ
欠点③…消えた“勤労”の美徳
欠点④…自分の過ちを認める習慣がない
欠点⑤…なぜ大国にふさわしい度量がないのか
中国知識人の硬直化現象
2章 漬物甕 文化…「醜い中国人」の原点
中国人は最近、五百年間にどんな偉大な貢献を」したか
どの民族がもっとも全人類に貢献したか
≪漬物甕≫文化…「醜い中国人」の原点
中国人はひとりひとりの覚醒が必要だ
なぜ中国知識人の思考力は衰退したか
中国人の心の狭量さ
バナナを皮ごと食べる軍閥の笑い話
中国共産党の「党に心を渡す」運動の大罪
中国人は小さな賢さがあって、大きな知恵がない
私は中国大陸で同じ発言をしたい
3章 中国人と日本人の相違点
纏足と宦官…だれがこの悪習を非難したか
“官吏になれば、美女と金銭が手に入る”
阿片戦争と黒船…衝撃波の受け止め方の相違点
中国人に民主主義と法律の観念がない理由
なぜ他人を批判しても、他人を賞賛する勇気がないか
4章 中国史の読み方…儒教精神の弊害
中国人とアメリカ・インディアンの共通項
中国史の読み方①…人間の尊厳をどう侵害したか
中国史の読み方②…黄金時代はたった三回しかなかった
「人肉食」…なぜ野蛮な行為が何百回も出現したか
中国史の読み方③…「官場」という特殊な空気
中国史の読み方④…儒教精神の弊害
中国人は漢字でどれだけ苦労してきたか
中国の進歩を妨げた人物はだれか
中国史の読み方⑤…人口過剰の問題
5章 中国人の精神構造(Ⅰ)…老人惚けの大展覧会
大胆に考え、大胆に話す精神の欠乏
畏敬の哲学
題字なのは人間関係ではなく、事実関係
面子の研究…“私”だけは例外
利をはかることのどこが悪い
沈痛な感慨
保身第一
尿が骨の髄に入り込む
孔子は「眞」を「直八」と読んだ
西洋人が一歩進めば、中国人は一歩退く
6章 中国人の精神構造(Ⅱ)…なぜ近代化できないか
最大の鏡
恥辱を栄誉とする
「体罰」論争批判
“中国人は自己満足と驕りに満ちている”
臭い靴の大軍団
少しは他人のことも考えよ
高層アパートから盆栽が落ちても気にしない人びと
笑うことのできない動物
礼儀の国
三つの言葉
行列の国
いったい、これはなんたる国だ
葬式はもはや“婚礼”のコピーとなった!?
目先しか見えないこと
是非を論ぜず、ただ「正路」を追求するのみ
盆の上の散砂…中国人のどこに問題があるのか
7章 中国人の自己批判
チャイナタウン…中国人を飲み込む魔窟
虚驕(きょきょう)の気…自己陶酔し、妄想をたくましくする中国人
恐竜型人間…中国人がまず、気づくべきことは何か
「崇洋媚外(西洋を崇拝し、西洋に媚びること)の本当の意味
日本の明治維新のここを学べ
あとがき……訳者として 張 良沢(ティユン・リァンティー 筑波大外国人教師)
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コメント
サラ・ポーリーの映画では、10年くらい前に『スウィートヒアアフター』を観ただけです。
(アボンリー以前では『バロン』と『丘の家のジェーン』を観ましたが…)
アボンリーの俳優さんの映画は、観たい反面、観たくない思いもあるのですよね。
ちょっとしたパラレルワールド的な存在にしておきたいから…
『醜い中国人』、25年も前の本ですが、お薦めですよ。
投稿: Michi | 2010年10月21日 (木) 23:22
サラ・ポーリーのその後の出演作「死ぬまでにしたい10のこと」を昨日借りて観ました。脚本はいまいちかなぁ~と思ってしまいましたが、彼女の瑞々しさやオーラは凄い。ハリウッド女優として十分活躍できますね(しているのかな?)ただ、この作品で男性二人といちゃいちゃしまくるシーンがあるので、あのセーラが・・。と心臓に悪かった。
中国人について。勉強したいと思っていたので、図書館でこちらで紹介された本を探してみようと思います。
投稿: kiyohime | 2010年10月21日 (木) 15:58