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『真実』

20100927 『真実』
~日中、二つの国の天と地~
李 珍/著
講談社

9ポイント(たぶん)の2段組み、319ページ、
でも、とても読みやすく、1日で読めました。

が、これは自伝なの?…それとも私小説?
と思えるくらい、波瀾に満ちた青春時代だった著者。

10年間日本に留学していた父、母は、日本生まれ日本育ちの華僑の娘、
文革時代は、両親が日本と関わっていたことで家族は迫害を受け、
紅衛兵になれず両親を恨んだ姉…

ワイルド・スワンほどのスケールはありませんが、
日本人が決して経験しない青春時代を送った著者ならではの、
当時の中国を垣間見ることが出来て、面白かったです。

実力とは関係なく、コネだけがものを言う中国、
そんな中国を批判し、コネによって登用される人達を軽蔑していても、
彼女自身も、強力なコネにより今があることには気付いていないのでしょうか?

率直な反面、身内を自慢し、自画自賛を繰りかえしているところが、
謙虚を美徳とする日本人の私は、共感できませんでした。

途中思いがけなく表れた、S学会のI・D氏とS大学の文字にドキッ…
彼女の夫は樋口勝さん…急に冷めてしまったことを白状します。

ともあれ、1982年に26歳で来日した彼女ですが、
来日後について述べられていないのが残念です。

あれ程憎悪し恐怖感を抱いていた資本主義国家で暮らし、
正直な感想を、是非とも知りたかったです。

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