『帰化日本人』
『帰化日本人』
~だから解る日本人の美点・弱点~
黄 文雄+呉 善花・石 平/著
季白社
『帰化日本人』は、日本に帰化した黄 文雄さん(こう・ぶんゆう台湾出身)、
呉 善花さん(お・そんふぁ韓国出身)、石 平さん(せき・へい中国出身)
による鼎談本です。
(同じ3人による『売国奴』も出版されています。)
『ほんとうは日本に憧れる中国人』とは180度違う内容で、
日本を絶賛していることは、日本人としては嬉しいには違いないのですが、
反面、違和感というか、胡散臭さも感じてしまったのはなぜでしょうか?
歴史教科書問題では、韓国では、
「小学校の教科書には、民族文化の優秀性を強調するために他民族をけなす
記述が多い。
特に日本人は文化的に我々より劣等だと一貫して記述されている」
また、史実を巧妙な捏造・改ざんにより、日本を徹底的に野蛮で卑劣な国と
徹底的に教育(洗脳?)しているとも言っています。
日本のように、戦前の自国を反省している教科書は海外にはないとも…
韓国、中国、台湾とは違う、日本の戦後教育については、亡国教育と言い、
体罰を肯定したり、皇室や靖国神社、伊勢神宮の扱いなども、
戦前の教育に戻すことを提言しているので、元青嵐会の人は大喜びするのでしょうが、
余りに偏った愛国心に思えました。
「中国共産党」を非難する際も、「共産党」としか言わないことも気になりました。
もしかしたら、「右」の人達と、持ちつ持たれつの関係なのかもしれません。
道徳教育では、
「命の大切さとか平和とか、現実認識抜きにそんなことを教えていると、
無力な国民、国際社会の困難に実際的な対応ができない民族になって
しまいますよ…」
また道徳関連では、呉さんが言うのは、日本人の基準は善悪ではなく、
美醜に基づいたものだそうです。
例えば、日本人は悪い人間と言われるより、みっともない人間と言われるほうが辛く、
電車のホームなどで並ぶのも、その方が美しいからだし、
子どもにも、「みっともない!」と叱る。
また、中国人や韓国人の学生は、よくカンニングをするそうですが、
日本人の学生が、なぜあまりカンニングをしないかと言えば、
カンニングが悪いと言うより、「みっともない」と思っているから…
(実際、韓国では、カンニングをしないのは馬鹿だと言われているとか)
「みっともない」は確かに見た目が悪いという意味もありますが、
外見の美醜といった単純な言葉ではないと思います。
「みっともない」は「悪い」を超えたもっと深い意味が込められている。
自分の良心が許さない、人として卑怯だ、自尊心が許さない、
恥ずべき姿だ(見た目じゃなく)、とか…上手く言えませんが…
この人達は、日本が好きと言っても、現在の日本ではなく、
戦前の日本を肯定していて、言ってることに矛盾を感じてしまいした。
参考までに、目次と三人の略歴を書きましたので、興味がある方はどうぞ…
↓
<目次>
三つのまえがき
第一章 マスコミ
* 日・中・台のマスコミの特徴
* 活字メディアの台湾と映像メディアの韓国
* 台湾の政治記事で本当のことは1パーセントしかない
* 中・韓・台マスコミのいうことはどこまで信じられるか
* 日本のマスメディアをどう見るか
* 日本のマスメディアに顕著な自己批判
* 日本のマスメディアを監督・指導している中国
* お笑い番組が氾濫する日本のテレビを批判する
* 韓国の親日言論・親北言論の現状
* 金銭をもらって記事を書く中国・韓国のマスコミ
第二章 教育
* 日本とはこれだけ違う我々が受けた教育
* 台湾の近代教育、中国の反近代教育
* 中・韓・台の密告制度
* 国語、国文教育はこうだった
* 中・韓・台の歴史教育
* 日本語の禁止、日本文化の制限
* 日本の戦後教育への苦言
第三章 道徳
* 道徳教育は復活させるべきか
* 儒教倫理教育の大きな弊害
* 道徳の源泉にある宗教性と美意識
* 美は普遍性をもてるか
* これこそ日・中・台・韓の土俗的宗教だ
* 日本をはじめ、それぞれの国がかかえる青少年問題
第四章 食事
* 食は香港・広東にありから台湾にありへ
* 中華・韓食・和食…風土から生まれた食文化
* 蓼食う虫も好き好きの郷土料理の自慢話
* 日本のラーメンは文化は「道」の域に達している
* 稲作民の文化的な性格
* 和食は目で食べる? 私の味わった和食
* 激辛の腕比べ
* 長寿国としての和食の世界的人気の真偽
* これからの食文化はグローバル化かエスニック化か
* 朝食か夕食か
第五章 風習
* 私が誇る国自慢としての美風
* 伝統生活の崩壊で失われた心の拠りどころ
* 日本の祭・神仏・皇室の意義
* 「寅さん」「おしん」の人気の秘密
* 日流・韓流・中国流
* カラオケ・マンガ・アニメが世界性を獲得した理由
* おもてなしと仏教
* それぞれの義理・人情観
* 「日本大好き族」は台湾以外にも生まれるか?
* これだけは永遠に残したい日本の文化・風習
第六章 夢
* なぜ儒教国家の若者だけがでっかい夢ばかりを育てる
* 今の日本にはユース・ビー・アンビシャスがない
* この道一筋何十年という日本人の夢
* 天下国家の夢なき日本
* 求められている精神的な豊かさの夢
* 自国を批判すれば売国奴になるのか
<著者略歴>
黄 文雄(こう・ぶんゆう)
1938年台湾高雄州岡山郡(現在の高雄県岡山鎮)に生まれる。
64年留学のために来日。早稲田大学商学部卒業後、
明治大学大学院文学研究科博士前期課程修了。
拓殖大学日本文化研究所客員教授。台湾独立建国連盟日本本部委員長。
『中国の没落』がベストセラーとなり評論家へ転身。
以後、日本を中心に活動し、 94年には台湾ペンクラブ賞を受賞する。
著書に『2008年の国難』『日中戦争は侵略ではなかった』
『世界が仰天する中国人の野蛮』他多数有り。
呉 善花(お・そんふぁ)
1956年韓国生まれ。大東文化大学(英語学)卒業後、
東京外国語大学地域研究科修士課程(北米地域研究)修了。
拓殖大学国際開発学部教授。韓国時代に4 年間の軍隊経験有り。
東京外大大学院時代に発表した韓国人ホステスに関する『スカートの風』が
大ベストセラーに。他に『攘夷の韓国開国の日本』(山本七平賞受賞)、
『「日帝」だけで世界は語れない』『韓国倫理崩壊1998ー2008』等多数有り。
石 平(せき・へい)
1962年中国四川省成都生まれ。84年北京大学哲学部卒業。
95年神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。
北京大学在学中に毛沢東洗脳教育から目覚め、その後中国民主化運動に没頭。
89年の天安門事件をきっかけに祖国中国と「精神的に決別」。
2002年「在日中国人」として評論活動に入る。
著書に『私は「毛主席の小戦士」だった』『中国人だから見える日中の宿命』
『中国の崩壊が始まった!』他多数有り。
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