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『手もちの時間』

20100505
『手もちの時間』 青木 玉/著 講談社

『手もちの時間』も、青木玉さんの随筆集ですが、特に印象に残っているのは、
“「楽しさの末広がり」~日本の老舗に思うこと~”
の中で綴られていた、母(幸田文さん)から教えられた買い物の心がけです。

海苔屋でもお茶を、お茶屋でも海苔は売られていますが、
海苔は海苔屋で、茶は茶屋で、料紙は紙屋で買うようにと言われていたそうです。

また、買い物に行った時は、「捨て目」を使うことも忘れないようにと…
たとえその時は買わない物でも、どんなものがあるのか、値段はどれ程なのかと、
ついでに見ておくと、後々きっと役に立つものだからと言うわけです。

私は失格ですね…
昔からウインドーショッピングはしない方ですし、
デパートでも目的地へ一直線で、必要な買い物が済めば、
店内を寄り道もしないで、サッサと帰ってますから。

もし気に入った品がない時は妥協します。
どうしても妥協出来ない場合でも、ハシゴはせず出直すタイプ。
とは言っても、ここ10年来、殆どネットショップが頼みの綱ですけどね。

その他には、電化されていなかった頃の暮らしぶりが書かれたものや、
名作誕生の経緯が書かれた「『流れる』のあとさき」も、興味深く読めました。

二人のお子様が幼かった頃に、
ご夫妻それぞれの母親を交えて出掛けた旅先でのエピソードや(「みんなでした旅」)、
母の日に、義母(夫の母)と母に、同じ花束を贈った思い出(「お揃いの花」)など、
幸せな家族の様子や、筆者の優しい心根が伝わって、
満ち足りた気分になれました。

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