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BUNGO-日本文学シネマ 『黄金風景』

先日、TBS系列「BUNGO-日本文学シネマ」シリーズの『黄金風景』を観ました。

文芸作品の映像化には、期待を裏切られることが多く、
最近は観ないようにしていましたが、
『黄金風景』は太宰治の中でも好きな作品の一つなので観てしまいました。
(出演は向井理さん、優香さん他)

前半の少年時代は、斜陽館で撮影されていたこともあり期待は高まって…
中々良かったです。
でも、原作を読んでない人なら感動されたかも知れませんが、
雰囲気が違うようにも感じました。

のろまさが我慢ならず、いつも女中のお慶をいじめていた少年時代の「私」…
そのお慶と、思いがけず再会するはめになって、
質が悪かった少年時代の自分を思い出し、自責の念に駆られると共に、
使用人だったお慶に、現在の惨めな姿を見られたくないという虚栄心から、
再会を頑なに拒もうとする「私」…

それなのに、「親にも顔を踏まれたことはない。一生覚えてる」
と言っていたお慶は、まるで、自分自身を自慢するかのように、
夫に有ること無いこと言っては、「私」を褒めているではないか!

そのお慶の屈託の無い様子に「降参」、ちっぽけな自分を自嘲し、
まるで呪縛から解き放されたような清々しい開放感を覚える…

ドラマでは、小学生の男の子が、好きな女の子にワザと意地悪するかのように、
若くて美しいお慶に淡い恋心を抱いた少年が、いじめているようにも…

訪ねて来た際の態度も、かつて仄かに思っていた年上の女性に、
御曹司の成れの果てを見られたくないがために、
恥ずかしさと見栄から、殊更避けていたようにも取れましたが…

私の解釈が間違っていたなら、お容赦ください。

それにしても、大正初頭当時、津軽の地主に女中奉公に入る娘が、
あんなに身綺麗で垢抜けていたとは考え難い、
ドラマだから仕方ないのですが。

太宰治の映像化としては、NHKBSの「太宰治短編小説集」の方が、
原作が生きていたように思えました。

20100419
太宰治『きりぎりす』 新潮文庫
(『黄金風景』はこの本に…)

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