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BUNGO-日本文学シネマ 『魔術』

「BUNGO-日本文学シネマ」の『魔術』は、『黄金風景』以上に、
原作の世界とは、懸け離れていました。

『魔術』は『赤い鳥』に発表された作品で、
ドラマのような、メロドラマ的な世界ではないのです。
原作には、文子も直哉も登場していないのですから。

一瞬の欲を出したのも、
“…愛する人を守りたいと思うのは、欲なんですか!?”
という部類のものではなく、カンダタや杜子春と同じように、
結局は人間は人間でしかないということだと思うのですが…
原作には無い台詞やシーンばかりで本当に残念でした。

タイトルに、文豪と銘打っておきながら、
ここまで、変えてしまっていいものなのでしょうか?

今後の放送予定は、『檸檬』『冨美子の足』『高瀬舟』『グッド・バイ』です。
谷崎潤一郎は見るつもりはないですが、
梶井基次郎は好きな作家の一人なのでの『檸檬』は見るつもり…
変えられていないことを祈るばかりです。

ところで、番組サイトには、
「文豪を演る!」
誰もが知っている文豪たちの隠された短編小説の傑作を30分のドラマにすることによって、長編大作では味わえない短編の中にのみ隠された作家たちの素顔、真実がそこに。

と、ありましたが、この短い文章には多くの疑問があります。
疑問というより違和感が…

例えば、どの作品も有名で、“隠された”とは言えないと思う。
“短編の中にのみ”というのも、“作家たちの素顔、真実”というのも…

それに、森鴎外、谷崎潤一郎は、確かに文豪ですが、
他の作家は、優れた作家ではあっても、文豪とは少し違うような気がします。

揚げ足ばかり取っているようでは、可愛いおばあちゃんにはなれませんね。

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