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洗い張り

『幸田文 箪笥の引き出し』(青木玉/著 新潮社)には、
「洗い張り」や「伸子(しんし)張り」のことも書かれていました。

「伸子張り」は実際に見たことはありませんし、「洗い張り」も、私の世代でも知らない人は多いのでしょうが、私が子どもの頃、母がやっていたので知っています。
母は昔、冬になると着物を着ていて、また和裁もしていたので…

今では浴衣だけでなく袷の着物もクリーニングに出せますが、昔は丸洗い出来る浴衣などは別として、通常、着物の洗濯は洗い張りだったようです。

洗い張りは着物をほどいてから洗い、糊付けし「張り板」に貼る方法ですが、私は着物をほどく作業を率先して手伝っていました。

ほどくと言っても、細かい針目の絹糸は絹地と一体化し、絹糸自体もしょうが抜けているために抜けないのです。

気短な私はつい布を引っ張ってしまうのですが、すかさず母から、「布が切れる」と注意されたものでした。

子どもだったので、洗い方も、糊付けの方法も分かりませんが、糊付けには「ふのり」を使っていたことは確かで、2枚の張り板に貼っていたように思います。

剥がすときも、乱暴に剥がすのではなく、布目に平行に、そう~っと剥がすのですが、剥がしたいばかりに、まだ充分に乾き切っていないうちに剥がして、叱られたことも、よくありました。
剥がした布で、また着物を縫うのですから、さぞかし面倒だったことでしょうね。

母は、セル(ウール)の着物を着るようになってからは、洗い張りもやらなくなり、
そのセルの着物も、いつしか着なくなったのでしたが…

「ふのり」は大きな「たたみいわし」といった形状で、飴色をしていたような気がしますが、一体どこで売られていたのでしょうか?今でもあるのでしょうか?

そういえば、小学校の図工で新聞紙の紙粘土を作った時も、ふのりを使ってました。

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