『住井すゑ ペンの生涯』
半世紀近くの歳月を経て、ようやく巡り会えた『もめん随筆』でしたが、
長年の願いも、むしろ叶わない方が良い場合もあることを思い知らされました。
(ちょっとオーバーかしら…?)
『もめん随筆』を読んでいる間、私はある人のことばかり思い出していました。
住井すゑさんです…
森田たまさん(1894~1970)と住井すゑさん(1902~1997)は、
どちらも明治時代に中産階級の家庭に生まれ育った女性ながら、
生き方は正反対にも思えます。
住井すゑさんのことは前にも書きましたが、生涯、あらゆる権力と差別を否定し、
闘った人…
幼い頃の食事といえば、父親と長男は一段高い畳の間で、尾頭付きのお膳なのに、
他の家族は板の間で、年中漬け物だけの食事…
でも、使用人達は、さらに低い土間で、麦飯を食べている。
一番、汗水流して一生懸命に働いている人間が、
一番まずい食事をしているのは、どう考えても、おかしい。
白米のおかゆを食べることに、罪悪感を感じたすゑさんは、
自分も麦飯を食べると言い張って、親を困らせたとか…
(帰省していた女中の一人が、笹巻を土産に戻ったが、
夏場のことでもあり、昨日の笹巻は傷んでいそうなので、
出入りの「ご用聞き」に食べさせた…という森田たまさんとは大違いです。)
また、住井すゑさんが6歳の時、
明治天皇が陸軍の大演習で、奈良にやって来て(住井すゑさんは奈良の生まれ)、
ある大金持ちの家に泊まったのですが、天皇の排泄物をみんなで奪い合った…
「排泄をするのだから、現人神(あらひとがみ)じゃない。人間じゃないか。」
人間はみな同じ。人間は平等だと悟ったそうです。
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