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『回想の太宰治』の文庫本

20100119
『回想の太宰治』 津島美知子/著 講談社文芸文庫

以前、図書館で借りて読んだ『回想の太宰治』は、
人文書院の初版本(1978)でしたが、
講談社文芸文庫の『回想の太宰治』には、
初版本には収録されていない複数の随筆があると知り購入しました。

津島園子さん・里子さん(津島佑子)のあとがき(「増補改訂版」1997・7)によれば、
晩年の美知子夫人は、
“~まだ、これも書いてない、あれも書いてない~”と、
自分の夫・太宰治について、読者のために記録すべきことを、
正確に記録していくことを、妻である我が身の義務と感じ続けていたそうです。

夫の歿後、多くの時間が経過したからこそ書けたのでしょうが、
妻でなければ知らない生身の太宰が綴られていて、とても興味深かったです。

作家の妻として口述筆記も務め、時にはアドバイスもしていた賢夫人だからこそ、
書ける文なのでしょうが、
(太宰治は、一度も言葉に詰まったり、言い直したりすることは無かったとか。)
聡明な美知子さんらしい、隙のない理路整然とした文章の中にも、
亡夫に寄せる思慕の情が溢れているように感じられました。

また、この文庫本には、
美知子さんの実家である甲府の石原家で撮った写真が載せられていました。

手前の中央には、美知子さんの母・くらさんが椅子に掛けていて、
その左側には神妙な面持ちの太宰治が…
二人の後には、右から冨美子(長姉)さん、美知子さん、愛子(妹)が立ち、
その後に弟の明さんが微笑みを浮かべて立っています。

太宰治の風貌が、井伏鱒二宅で写した婚礼の写真とほぼ同じなので、
その前後の写真なのかも知れません。
(写真は昭和14年(1939)に写されたもので、結婚は、昭和14年1月8日です。)

写真を見た時に私は、
“この人が(愛子さん)、桜子さん(宮﨑あおいさんが扮した)のモデルだったのね~”
と、些かミーハーになってしまった…
(友人に薦められて「純情きらり」を見ていたので…)

ついでながら、ドラマの「純情きらり」では、
笛子(寺島しのぶさん)は長女で、桜子は三女、勇太郎は長男でしたが、
美知子さんは四女で、愛子さんは五女、明さんは次男です。
(原案の津島佑子さんの小説『火の山-山猿記』でもそうです。)

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