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『恋の蛍』

20091206
『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』 松本侑子/著 光文社

「天彦(あまひこ)よ 雲のまがきに 言(こと)づてむ 恋の蛍は 燃えはてぬべし」
                                                             『夫木(ふぼく)和歌抄』第八巻・夏

著者は「赤毛のアン」シリーズの翻訳や関連書で有名な松本侑子さん。
松本侑子さんと太宰治…ちょっと意外な気もしました。

膨大な資料や取材の跡、関連文献からの引用や抜粋、数種類のフォントなど、
著者の苦労や意気込みが伺えます。

時代に沿って、ドキュメンタリータッチで書かれてありますが、
副題とは裏腹に、あまりにも枝葉が広がり過ぎてしまって、
肝心の山崎富栄さんへの焦点が、ぼやけてしまった感じがしました。

太宰治の入水に付き合っただけなのに、
文士たちによって、いわれなき汚名を着せられた山崎富栄さんへの、
名誉挽回を目指すとするならば、
小説ではない梶原悌子さんの『玉川上水情死行』の方に、軍配を上げたいです。

まだ読み終えてもいないのに、比較するのもなんですが…

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