『恋の蛍』
「天彦(あまひこ)よ 雲のまがきに 言(こと)づてむ 恋の蛍は 燃えはてぬべし」
『夫木(ふぼく)和歌抄』第八巻・夏
著者は「赤毛のアン」シリーズの翻訳や関連書で有名な松本侑子さん。
松本侑子さんと太宰治…ちょっと意外な気もしました。
膨大な資料や取材の跡、関連文献からの引用や抜粋、数種類のフォントなど、
著者の苦労や意気込みが伺えます。
時代に沿って、ドキュメンタリータッチで書かれてありますが、
副題とは裏腹に、あまりにも枝葉が広がり過ぎてしまって、
肝心の山崎富栄さんへの焦点が、ぼやけてしまった感じがしました。
太宰治の入水に付き合っただけなのに、
文士たちによって、いわれなき汚名を着せられた山崎富栄さんへの、
名誉挽回を目指すとするならば、
小説ではない梶原悌子さんの『玉川上水情死行』の方に、軍配を上げたいです。
まだ読み終えてもいないのに、比較するのもなんですが…
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