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「岡部伊都子 弱き者へのまなざし」

12月の「こだわり人物伝」は、「岡部伊都子 弱き者へのまなざし」。

1回目の出演は、評論家の佐高信さんで、
タイトルは、「私は“加害の女”」でした。

岡部伊都子さんは、19歳の時、戦場に赴く婚約者が、岡部さんに、
「この戦争は間違っている。天皇のために死にたくはない」
と、本心を打ち明けた時、軍国少女だった彼女は、
「なぜそんなことを言うの?私なら喜んで死ぬ」
と言って送り出したのですが、婚約者は、沖縄戦で戦死…

夫や婚約者、また、息子や父親を戦争で失った人たちは、
「自分も戦争の被害者、または犠牲者」と思いがち(当然です)ですが、
岡部さんは、亡くなるまで、“加害”という罪悪感を持ち続けていたそうです。

岡部さんだけでなく、当時のほとんどの人達が、
同じような考え方だったのでしょうから、
“加害”といっても、国政(軍国主義)の犠牲でもあると思えるのですよね。

どこの国の人も、戦争に限らず、また、諸々の差別にしても、
被害者意識だけが残り、加害者意識を持つことは少ないような気がします。
出来ることなら、被害者意識は捨てて、
加害者意識あけを、持ち続けるべきかもしれませんね…。

岡部伊都子さんといえば、誰もが「随筆家」と言うでしょう。
私は、「エッセイスト」という言い方より、「随筆家」の方が好きなんです。
私が、“歳”ということもあるのでしょうが、
意味は同じでも、文学的な香りがするのですよね。

岡部伊都子さんのほかに、随筆家と言って思い浮かぶのは、
古くは、清少納言や吉田兼好…

最近(でもないですが…)では、森田たま、幸田文、青木玉、でしょうか…
(読んだことはありませんが、幸田文の孫で、青木玉さんの娘の
青木奈緒さんも随筆家(エッセイスト)ですね。)

20091203
『観光バスの行かない……埋もれた古寺』 岡部伊都子/著 新潮文庫
(本棚を探して見つかったのは、この本だけでした。)

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